JAL:倒産した翌日から、もう地域エゴの声
毎日jp:地銀協:小川会長、便確保を希望 日航の地方路線削減で
全国地方銀行協会の小川是会長(横浜銀行頭取)は20日の会見で、日本航空の地方路線が削減される見通しであることについて、「(日航が就航している)地域は、経済、社会活動を維持するうえで、当然ながら便を確保してほしいと思う。(収益確保と)地域の要請とどうやって調和を図るかが課題だ」と述べた。
短い記事で今ひとつ真意がつかみにくいが、地域の要請をこの倒産直後に口にすることの大胆さには恐れ入る。
とはいえ、日航の倒産処理には数々の矛盾が見え隠れし、税金投入を目の当たりにしている納税者としては極めて不安だ。
最大の矛盾、というかパラドックスは、巨額の税金をつぎ込んだ結果として維持される日本航空が、それ以前の純粋民間でやっていた会社よりも、政治のしがらみが断ち切れると、効率的になると、多くの論者が衒いもなく言ってのけることだ。日ごろ経済効率を上げるために民営化が必要などと言っていたはずの面々も、JALについてはそうは言わない。例外は竹中平蔵氏だが。→日航再建、政府関与は過剰か
比較の対象として、巨額の政府資金を入れつつ任意整理で再建しようした当初の日航経営陣の方針であれば、まさしく公共性というなの政治エゴが幅をきかせて、遅れてやってきた国鉄みたいな事になっていたであろう。それに比較すれば、公的資金でつなぎ融資を確保しつつ、法的倒産処理によって大鉈を振るうのは、より効率的な経営体質に生まれ変わるチャンスが大きい。
それとともに過去の不正な取引があったとすれば、その是正も可能になるので、私は、その両方から法的整理による方が良いと考えてきた。→JAL法的倒産処理の可能性が高まる/JALチキンレース/JAL:身売りの途を探る
しかし、法的倒産処理を選択すれば、自動的にうまく行くと行った覚えはない。会社更生申立てに至ったことは大きな前進だと思うが、冒頭に掲げたような圧力は強くなる一方だし、世間に公言するよりも政治家に陳情する動きは強まる一方であろう。というか地方選出の民主党議員が率先して政府に自分の選挙区近くの不採算路線維持について申し入れをする姿が眼に浮かぶようだ。
その結果、東北地方の路線だけ異様に厚く残るようなことがあれば、話はわかりやすくて良いが、税金はざるに流す水となるであろう。
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コメント
倒産J’A`Lにバードストライク! 赤字路線政治トリ軍団が。
投稿: キメイラ | 2010/01/21 00:09
静岡県知事は,例の(発生済みの)搭乗率保証金を支払わないと相変わらず言っているらしいですね。
倒産処理やると,どさくさ紛れに(倒産した者への)支払を踏み倒そうとしたり,値切ろうとしたりする奴が出てくることがあります。
たとえば後のサポートができなくなるようなときには値引くことがありますが,買い切りで,何の問題もないのにそういうやつがいますからね。
まさに火事場泥棒といえましょう。
投稿: h | 2010/01/21 13:09