EU:倒産手続の普及主義をEU司法裁判所が認めた
EU司法裁判所は、2010年1月21日の判決により、EUメンバー国の一つの裁判所が開始した倒産手続の効力が、他のすべてのメンバー国の裁判所に及ぶと判断した。
事案はポーランドの住宅会社の倒産事件で、ポーランドのグダニスク裁判所が倒産手続開始決定を下した。
ところがその後、ドイツの裁判所が、倒産会社のドイツ法人による賃金不払を理由として、債権差押えと保全差押の命令を下した。これはポーランド倒産処理手続に反する行為であった。
そこでポーランドの裁判所がEU司法裁判所に対し、メンバー国の一つで倒産手続が開始された後に他のメンバー国の管轄裁判所がその倒産企業の財産を差し押さえることが出来るか、判断を求めたのである。
EU司法裁判所はこの場合にポーランドの裁判所の倒産処理手続が他のメンバー国に及び、ポーランド倒産法が倒産処理手続開始後に個別執行を禁止しているので、ドイツの裁判所もこれに拘束されるとした。
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