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2009/12/09

jugement:絵画をオークションに出しウェブ出品カタログに写真を載せたら複製権・公衆送信権侵害?

東京地判平成21年11月26日PDF判決全文

ウェブページのみならず、紙媒体にも写真を載せたものだが、裁判所は複製権侵害・公衆送信権侵害を認めた。

 まず、引用に当たるかどうかだが、カタログに説明が記載されていても、それは著作物ではなく事実の記述に過ぎないので、著作物の写真が主であるから引用にはならないという。
 次に著作権法47条の「観覧者のためにこれらの著作物の解説又は紹介をすることを目的とする小冊子」に当たるかどうかについては、不特定多数人に配布するものだから観覧者のためとはいえないとした。
 権利濫用の抗弁については、以下のように判示した。

著作権法は,複製権等が制限される場合を列挙して規定しており,その権利制限規定に該当しない以上,上記のような複製の必要性が認められるからといって,当然に著作権者の権利を制限すべきものとはいえない。被告は原告らに無断で本件著作物の画像掲載を行ったものである(弁論の全趣旨)ことからすると,本件において,原告らの著作権の行使を権利の濫用であるとするような事情も認められない。

平成21年6月19日の著作権法改正により、新たに挿入される47条の2では、美術品の所有者らが譲渡する際に、その複製・公衆送信をすることができるという規定が明文化されたが、これは未施行である。
しかし、施行前とはいえ、その無断複製の必要性があることが承認されている現在、本判決のような著作者の事実上の二次的譲渡権コントロールにも匹敵する権能を、そのまま認めてしまうというのは筋が悪い。

なお、被告サイトはこちら。判決文中に出てくるArt-cleはこちらであろうか。

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コメント

>施行前とはいえ、その無断複製の必要性があることが承認されている現在、本判決のような著作者の事実上の二次的譲渡権コントロールにも匹敵する権能を、そのまま認めてしまうというのは筋が悪い。
47条の2が立法されたのは事実だが、本件で問題になっているオークションカタログについて「無断複製の必要性があることが承認されている」といえるかどうかは、相当に疑問だと思いますよ。立法の前提となった文化審議会の議論では、もっぱらネットオークションのことだけが審議されていて、紙媒体への複製の権利制限なんて、全く議論されていない。
それに、新法を前提にしたとしても、この被告の利用態様が「当該複製により作成される複製物を用いて行うこれらの著作物の複製又は当該公衆送信を受信して行うこれらの著作物の複製を防止し、又は抑止するための措置その他の著作権者の利益を不当に害しないための措置」をとっていたかどうかも全くわかりません。

投稿: 一哉 | 2009/12/10 14:50

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