CDの後を追うか、本
asahi.com:本の販売2兆円割れ 170誌休刊・書籍少ないヒット作
書籍も雑誌も、販売額が減少しているそうだ。
ここ30年来、出版不況だといわれていなかった時期はなかったと思うし、活字離れという言葉は私が子供の頃から問題だ問題だといっていた。
しかし売り上げの推移を見ると、やはりバブル期は出版業界も潤ったようである。そしてバブル崩壊にかなり遅れて、1996年にピークを迎えて、以後売上額低下がずっと続いており、今年は2兆円割れということである。
1996年というと、日本におけるコンピュータ普及のエポックであるウィンドウズ95が出た直後。そしてインターネットが普及し始めた頃である。
津野海太郎『本はどのように消えていくのか』(晶文社)が出たのは、実はこの本の販売ピークの1996年であり、初出は1993年からの連載エッセイなので、時代をかなり先取りした本ということができる。
その中には、あの懐かしいボイジャーのエキスパンド・ブックが大きく取り上げられ、未来の電子本のプロトタイプとされている。津野氏のタイムスパンは近未来でも50年後、本が消えるまでは200年以上ということなので、活字、音声、画像、位置情報、それに動きも加わった双方向メディアが登場した現在の状況からすると、果たしてどうなのかとも思うが、方向は正鵠を得た内容である。
このような本を出していた晶文社が、倒産まで行かなくとも一般書から撤退したのは今年の夏のことであった。
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コメント
こちらでは大きな書店に行くと、法律学の基本書ないしロースクール用教材のコーナーがさながらミニバブル状態と化しています。旧司法試験の受験生のほうがはるかに今の適性試験受験者数より多かったのに、出版点数は桁違いに多くなりました。
それでなくてもロー生の寒い懐が余計に寂しくなるだろうと無情を感じざるを得ません。人に読ませる工夫のある基本書が増えたことは事実です。団藤綱要とか我妻講義みたいな、ひれ伏したくなるような本はもう出ないのでしょうが。
投稿: 徳岡宏一朗 | 2009/12/17 01:00