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2009/11/11

media:日経NET Plus

日経NET Plusという電子新聞がある。

名前の通り、日経新聞の別働隊だが、通常の日経新聞サイトとはひと味違ったコンテンツと、紙媒体との連動を強く意識した作りである。

その中には、私が書いたものも一つだけ登場する。

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ところが、このサイト、かなり厳重な会員制で、ログインしないと上記の表紙しか見られないようになっている。
私自身も、かなり前(一年以上前?)に会員登録して、そのままになっていた。今回リニューアルして法律関係コーナーもできると聞いてアクセスしてみたら、何も見ることができないので、記憶の底にあったID/PWを思い出すまで、どんなものか見ることもできないまま何を書いたらよいか考えるという羽目に陥った。

それはともかく、たいていの人は、会員登録が必要だという画面で引き返すのではあるまいか?

情報の売り方というのは難しく、見出しや表紙を見せて、中が読みたいという気持ちを起こさせて、アクセスさせる(買ってもらう)というのが基本だが、この基本的なやり方だけでは、羊頭狗肉路線の競争ということになってしまう。
扇情的な見出しやアイキャッチャーな見出しで引きつける競争となると、その面で恥を知らないメディアが優位に立ち、日経新聞のような立ち位置ではすこぶる不利であろう。
もう一つ、有名人がここでしか読めないコンテンツを提供しているという売り方で、上記サイトも竹中教授のオフィスアワーというのが大々的にトップになっているが、竹中教授が何を書くかは大体想像が付くということを別としても、独占企画という感じにはなりにくい。有名人であればあるだけ、あちこちに登場するし、会員登録しなくても読める情報ということになる。

中身を見てもらえば、面白さに気がつくという情報も沢山あって、そういうのを途中まで見せて、主要部分は会員登録をどうぞというのも伝統的な情報の売り方だが、上記サイトはその辺が全く未開拓のようである。
最新号は全部見せて、バックナンバーに属する部分は会員登録が必要だとか、最新号でも有名人の独占企画だけは会員登録が必要だとか、色々考えているとセコイ感じもしないでもないが、まあ、どこでもやっていることだ。
ともあれ、初めての雑誌を定期購読するときに、人が何をするのかということを考えると、名前だけでみずてんで購入始めるコアなファンはともかくとして、一般大衆から新規顧客を引きつけようとすれば、隅々まで見て次も見たいという気にさせて売るのが王道である。

以上は既存メディアの売り方になぞらえた話だが、ネットメディアではもちろん別のやり方がある。
検索エンジン対策がその代表格だが、SEO以前の問題として、会員登録しなければ見られないコンテンツは検索の対象とならないのではあるまいか? それでは一見さんお断りの料亭のようなものである。
双方向で参加を促すやり方もネット的には伝統的で、上記サイトには「フォーラム」というカテゴリがある。私が登場するのもそれであり、FAQには「日本経済新聞に掲載された記事などを中心としたテーマについて、各分野の専門家や経験者などがより深く、より多面的に分析していく会員専用のディスカッションの場です。フォーラム内の議論をご覧になった上で、会員は質問、感想、ご意見をお寄せいただけます。」とある。編集側はこの方向で発展させようと考えているものと思うが、著名人の集客力に頼っている限りは、このようなディスカッションの輪にパネリストを参加させるのは望み薄であろう。
クラウド時代の双方向性を象徴するのがTwitterかもしれないが、Twitterでつぶやいてもらうにも会員制では身動きがとれない。
携帯サイトの充実も、少なくとも日本の新規顧客を開拓するには不可欠な方向だろうと思われるし、携帯ならQRコード経由のアクセスが期待できるので、紙媒体との連動ももっと容易にできそうだが、ここでも厳しすぎる現状の会員制をとっていると、広がりに限界がありすぎる。

逆に会員制を前提に考えると、会員が自分のトップページをカスタマイズし、様々な経路からの情報を取り込んだ自分専用のウェブサイトに書き換えるという方向もあり得る。そうちょうどiGoogleがやってきたようなやり方で、Thunderbird 3がやろうとしている方向かもしれない。
日経新聞社が保有する様々な予定情報が選択的に表示されるカレンダーに自分の予定も書き込めるコーナーを作るとか、あるいは過去データの蓄積に自分の履歴を書き入れて、自分史を作れるコーナーを作るとか、シニア層にも受けそうなクラウドコンテンツはいくらでもありそうである。多分日経新聞が好きなシニア層なら、自分史に豊富な経済記事・企業記事、あるいは写真を組み合わせ、これに自分の感想を書き込んだ過去日記みたいなのを作って、出版できるというようなサービスがあれば、飛びつく人がたくさんいるのではあるまいか?

ということで、老いたメディア王のような発想ではどうにもならないが、ネットメディアは日経新聞にとっても将来性豊かな分野であり、特に一般大衆の情報発信力を引き出す工夫や、一般大衆相互間のコミュニケーションを促して、そこにコンテンツ産業として食い込むやり方など、様々なやりがいある方向性が考えられそうである。
すべての既存マスコミにいえることだが、豊富な情報収集力と情報発信力をネットメディアに活用すれば、新興メディアに追随を許さないようなことが沢山できると思うのだ。

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