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2009/11/05

Jugement:セクハラ上司の言い分

いまどき、こんな言い訳をするとは、という見本である。

さいたま地判平成21年8月31日PDF判決全文

被告Bは,原告に対し,数回,仕事が暇な時に,すれ違いざまに原告の臀部を軽く叩いたり,遠くから原告の乳首を摘むような仕草をしたことがあった。以上の行為は,性的な満足を得るためではなく,被告Bなりの明るい職場雰囲気作りの一環としての単なる冗談に過ぎなかった。被告Bは,原告以外にも,自分よりも年下の女性パートに対しては,同様の行為を行っていた。

判決文の認定ではなく、被告の言い分として記載されている。

実際に行われた行為がどの程度のものだったかは、民事裁判の判決文から明らかになるものではないが、以下のように認定されている。

被告Bから,飲みに誘われたほか,スリーサイズを尋ねられるなどされたうえ,次いで,尻を触る,至近距離から菜箸で原告の乳首を摘むまねをする,原告の胸をことさら見るなどのセクハラ行為を受けるようになった(このようなセクハラ行為は,原告が退職するまで続いた。)。また,被告Bは,原告に対し,職場で,コンドームを机から取り出して見せ,やろうかと言ったことがあった。

この事件自体は、被害者側の事情も考慮され、過失相殺がされているし、原告側の言い分のうちセクハラ被害を訴えたら嫌がらせされたなどとの主張は認められていない。この認定にも、結局やったやらないの水掛け論になっている部分があり、また過失相殺を認めているところでも原告側には不満が残る判決だろうと思われる。
今回のケースでは、セクハラ加害者である上司が原告の夫に「お尻については弁解の余地有りません」と記載した原告宛手紙を手渡すという事情があったからこそ、セクハラの事実が認定されたようにも見える。この事情もなければ、原告の体調悪化が全部原告側の事情のせいにされて、請求それ自体認められないという可能性すらあっただろう。

働く能力と意欲がある従業員は、これを雇う側にとっても戦力であり、セクハラ・パワハラの類によって潰されてしまうのは企業にとっても損失である。そのことを考えると、セクハラの事実が闇に葬られて責任が認められないという結果は、目先の利益としては企業の利益になるとしても、戦力を無駄に失うという意味では企業の利益に反する。
企業としては、セクハラ・パワハラが起こらないような環境を整えることが、責任やスキャンダルを回避できるというだけでなく、企業の戦力を有効に役立てられるという点でも重要なのである。
従って、セクハラが起こってしまった場合も、それが闇に葬られることのないような環境作りが必要なのだ。

だからといって職場に盗聴器を張り巡らせるとか監視カメラを付けるとかいった手段に走るのが良いと言っているわけでもないので、その具体的方法は難しいのだが。

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