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2009/09/15

politique:ついに徳政令が復活か?!

毎日jp:国民新・亀井氏:「中小企業に返済猶予を」

おいおい、まじか〜と叫びたくなるようなニュースである。

このブログでも亀井氏がモラトリアムを主張したとか、それが三党合意に入っているとか、ニュースに現れるたびに注目してきたが、本当になるとは実は思っていなかった。

そういえば、選挙中、鳩山氏は革命を起こすと叫んでいたが、明治維新以来の革命ということで江戸時代の法制に逆戻りする革命だったのだろうか?

郵政・金融担当相への起用が内定した国民新党の亀井静香代表は15日の会見で、中小企業が金融機関から受けた融資の返済期限を延長する支払い猶予(モラトリアム)の実施に向けて、金融庁と検討に入る考えを表明した。延長期間は3年を軸に調整し、実施時期は「可及的速やか」と話した。亀井代表は「中小・零細企業が金融面で苦しい状況にあり、これを克服しないと日本経済の回復はありえない」と意欲を示した。

 民主、社民、国民新3党の連立協議で結んだ政策合意には、中小企業に対してのモラトリアムや、貸し付け条件の変更を可能にする「貸し渋り・貸しはがし防止法(仮称)」の成立を盛り込んでいる。亀井代表は会見で「借り手が元気になれば、返済能力が出る」と述べ、モラトリアムの有効性を強調した。

つまりは、中小企業が一斉に倒産処理の一部を行うというわけである。

倒産原因もないのに、契約の一方当事者が当然にモラトリアムを主張できるとする法律を制定し、しかもそれを既存の契約にも直ちに適用するとなると、実質的に遡及立法であり、おそらく憲法29条違反として、内閣法制局が立ちはだかるだろうし、制定されて適用されたら、訴訟が頻発するのではないか?

第二十九条  財産権は、これを侵してはならない。

上記記事には次のようにある。

銀行業界では「返済猶予を法律で認めると、中小企業が経営改善努力を怠るモラルハザード(倫理の欠如)が起こりかねない」(大手行幹部)との声が出ている。

ここでいうモラルハザードというのは、誤用だが、「どうせ返せなくなっても焦げ付きが生じても誰かが助けてくれて、自分の責任は追及されないからいいもんねー」という態度をいう。

そう、まさにバブル崩壊後の金融救済とそれを歯止めなくしてしまった政策により、当の銀行業界が享受してきた態度にほかならない。
「大きすぎてつぶせない」とか、「倒産すれば地域経済に悪影響がある」とか、「国が保証した以上死なせるわけにはいかない」とか、もっともらしいことをいって公正な倒産処理と責任追及を避けてきた結果、大企業や銀行経営者が身につけてしまった態度、それが「どうせ返せなくなっても焦げ付きが生じても誰かが助けてくれて、自分の責任は追及されないからいいもんねー」という態度なのだ。

中小企業なんかにもモラトリアムを認めたら、連中は「どうせ返せなくなっても焦げ付きが生じても誰かが助けてくれて、自分の責任は追及されないからいいもんねー」という態度になると銀行業界が言い出すのは怪しからん限りだが、真っ先にそういう反応が生じるのは、自らが身にしみて税金救済のありがたさを感じているからにほかならないだろう。

亀井大臣も、戦時でもないのにモラトリアムにまで踏み込むなら、会社更生法とか民事再生法とかはすべて廃止して産業再生法を無限政府保証付きで無制限に適用することにしたらよい。
ついでに、今改正が検討されている民法(財産法)でも、消費貸借契約から返済を求める権利を制限し、手元不如意の抗弁とかを新設してみてはどうだろうか?
手元不如意の抗弁を借り主が主張したら、法定保証が政府に生じるというようにしてしまえば、いつでも税金で債務者を救済できる。
それなら、モラトリアムも、少なくとも憲法29条3項の趣旨から合憲となりそうである。

そんなことをしているヒマがあったら、持論の死刑廃止でも法務大臣に申し入れて凄んではどうかと、そう思うのだ。

おそらく、すったもんだしても、最後は産業再生法の適用を多少拡張するとか、例えば金融機関の協力が取り付けられていない債務者でも仮申立てができて、同法24条の一時停止を暫定的に適用できるようにして、モラトリアムを拡大したことにするというあたりが落としどころなのではなかろうか?

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コメント

ここのモラル・ハザードはプリンシパル・エージェントモデルでの意味ですので
誤用ではないのでは?
というか実は私はこの意味以外知りません...
ボキャブラリーの欠如です...

投稿: 故元助手A.T. | 2009/09/16 01:05

もともとは保険法の用語でしょ>モラルハザード

モラルは倫理とかいう意味ではなくて、故意のとかいう意味では?

投稿: 町村 | 2009/09/16 01:22

保険業界では、
保険者の故意⇒moral hazard
保険者のリスク回避の懈怠⇒morale hazard
らしいです。
ただ、moral hazardで両方を含意することもできるそうなので、「故意」に限定する必要はないみたいです。
あと、サブプライム問題のときも公的資金の注入に対してmoral hazardが起こるからとする反対意見もあったようなので、記事の大手銀行幹部の発言も誤用とは言えないのではないでしょうか。

むしろ、記者が親切にも(倫理の欠如)と入れてくれたのが問題なんじゃないですかね(もっとも発言者がどの意味合いで使ったかはわかりませんが)。

投稿: 603 | 2009/09/16 01:58

moralとmoraleで区別させるのは、業界ジャーゴンではないかという気がしますけど。第1moraleなんて英語っぽくはないし。

ただ、もともとの「故意の事故」という意味から、こんなに幅広く転用されてしまうと、もう誤用とは言えないのかもしれませんね。

今度から誤用だ誤用だというのを控えることにします。

投稿: 町村 | 2009/09/16 02:16

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