TV:気骨の判決、放映される
NHKでドラマ化された番組を見たが、なかなか感動的なドラマに仕上がっていた。
こちらの丸めがね研究会というサイトでも掲示されていたが、吉田久判事のこの顔写真がテレビでも出てきた。
さて、ドラマでは繰り返し、大政翼賛会の正当性、一億一丸となって敵にあたるためには議会も一丸とならねばならず、そのために推薦候補が当選するように全力を尽くすことの何が悪いかと主張されていた。吉田判事自身にもそのようなことを語らせていた。
これは下記タネ本にはあまり出てこないものであり、吉田判事に対する様々な嫌がらせとともにドラマの特徴である。
嫌がらせはドラマ的な演出なのだが、翼賛選挙の正当性の主張は演出以上の制作者の意志を感じる。つまり、公正な選挙という法に対して、戦争遂行に一丸となるためには自由公正な選挙を枉げることも辞さないという行動が対立し、後者を一概に誤りとは切って捨てられないという意識があるのであろう。
一つの価値観に帰依してしまうと、民主主義のコストに耐えられなくなってしまうということの一つの現れだし、戦時中という特殊な状況下では無理もないといえなくもない。生存が脅かされている状況では、平時の理性を維持することなど期待できないというわけだ。
だからこそ、戦時の法と手続は重要な役割を果たすし、吉田判事のような人物が貴重なのだが、個人の気骨に頼ること自体が民主主義とか公正さとかの脆弱さを見るようである。
平時の今日においても民主主義のコストが耐えられない人が時々いるが、そういう連中は単なる子供というか精神的な未熟さを露呈しているというべきであろう。困ったことに、未熟さということを自覚できないのが子供の特徴でもあるのだが。
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