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2009/08/12

jugement:営業職の自殺と業務起因性

東京地判平成19年10月15日(PDF判決全文

亡くなった人は気の毒だし、遺族はもっと気の毒だが、自殺に追い込む形となった上司は仕事を真っ当にやっただけだという思いが強いであろう。
言い方はきついが、それを改めたら自殺に至らなかったかというと、どうなのであろうか?

判決の認定する上司の言動(主に遺書より認定)

① 存在が目障りだ,居るだけでみんなが迷惑している。おまえのカミ
さんも気がしれん,お願いだから消えてくれ。
② 車のガソリン代がもったいない。
③ 何処へ飛ばされようと俺はP1(=自殺した部下)は仕事しない奴だと言い触らしたる。
④ お前は会社を食いものにしている,給料泥棒。
⑤ お前は対人恐怖症やろ。
⑥ P1は誰かがやってくれるだろうと思っているから,何にも堪えていないし,顔色ひとつ変わってない。
⑦ 病院の廻り方がわからないのか。勘弁してよ。そんなことまで言わなきゃいけないの。
⑧ 肩にフケがベターと付いている。お前病気と違うか。

判決の認定する上司の姿勢と経緯

前記認定事実のとおり,P2係長は,そもそも業績が低迷している静岡2係の体質改善を行うことを指示されて,P1を含む同係のMRの上司となり,平成14年秋ころから,P1の業績や営業手法に疑問を抱き,その営業活動のてこ入れをすることを目指して,P1に同行して営業先に赴いたところ,自らは積極的な営業活動を行うP2係長から見ると,P1の営業活動は,医師への顔つなぎという基本的な事項自体が全くできていないことに驚くとともに,仕事をする心構えができていないと感じ,さらに,P1が身なりに無頓着で,背広や靴を替えることなく,ふけがひどかったり,喫煙による口臭があるという基本的な生活習慣自体に問題があると考えたこと,P1の死後も,本件会社の同僚やP1の遺族に対し,P1が仕事ができなかったことや身なりがだらしないことを発言していることからすれば,P2係長は,P1について,部下として指導しなければならないという任務を自覚していたと同時に(前記認定事実のとおり,P2係長は,P1の営業活動を強く援助している。),P1に対し,強い不信感と嫌悪の感情を有していたものと認められる。

 確かに上司としての指導や仕事観からのP1さんへの低評価は、判決の認定する事実関係からすると当然のことかもしれない。
 しかし、だからといって、自殺するまで追い詰めることが許されるわけではないのであって、困難ではあるが、相手の状況を一人一人把握した上で対応しなければならないのであろう。

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