Book:銀行の預貯金過誤払い責任を問う
齋藤雅弘弁護士が関与された弁護団の活動をまとめた本『預けたお金を返してください』(あけび書房)を送っていただいた。
銀行が必要なセキュリティを施さないまま、盗難通帳や偽造カードにより銀行預金が引き出されたとき、その負担を当然に預金者が負うという構造に対して、果敢に挑んだ弁護士たちの物語である。
お堅い法律書と異なり、ルポライターの矢吹紀人という方が書かれた本なので、あたかもNHKのプロジェクトX(今ならプロフェッショナル仕事の流儀か)を見ているような感じで読み進めていくことができる。
弁護士さんというのはこういう仕事を(も)するのだということで、ロースクール生や法学部生にオススメの一冊だ。
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コメント
キャッシュカード不正引き出し問題については、
「キャッシュカードがあぶない」(柳田 邦男)
という力作があります。ここにも、銀行側の怠慢によって、預金者に何ら落ち度がなくても、簡単に不正引き出しが行われてしまったのに、銀行は一切補償しない、警察もあてにならない、裁判ぐらいしか救済手段がないということが書かれています。
改めて、裁判制度の重要性を認識しました。
柳田は主に医療関係で活躍しているノンフィクションライターですが、自分からネタを探してこのテーマに挑んだのではなく、知人やそのまた知人くらいから、自然と不正引き出しの情報が流れてきたのだそうで、いかに不正引き出しが多かったかがわかります。
投稿: Inoue | 2009/08/28 16:49