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2009/08/11

arret:鑑定入院:これぞ傍論判例

最決平成21年8月7日(PDF判決全文

心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律に関する判断が示されているが、それは一顧だにされず、以下のような判断が職権で示されている。

鑑定入院命令が発せられた後に鑑定入院の必要がなくなったことなどの事情は,法72条1項の鑑定入院命令取消し請求の理由には当たらないものの,裁判所は,鑑定人の意見を聴くなどして鑑定入院命令が発せられた後に法による医療を受けさせる必要が明らかにないことが判明したときなど,鑑定入院の必要がないと判断した場合には,職権で鑑定入院命令を取り消すことができ,対象者,保護者又は付添人は,その職権発動を促すことができるものと解するのが相当である。

事案が分からないので、この事件でこの方法によれば認められたのにという判決釈明なのかもしれないが。
それにしても事案の解決には全く寄与しない判断であり、完全な傍論である。にもかかわらず、この判断は実務を動かすのであろう。

こうした機能が最高裁判断で積み重なると、事実上の抽象的法律判断機能があるとか、EU司法裁判所やフランスやドイツで見られるような意見請求機能があるとか、そうした議論が出てくるのではないか?

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コメント

確かに傍論ではあるのですが、抗告人が、「鑑定入院命令の発令後にその必要がなくなったことが取消し請求の理由とならないと解釈するならば、そのような場合の身柄解放の手段がなくなるから不当である。」という主張をしたのではないかとも憶測します。抗告理由が明らかにならないとわかりませんけれどね。
それはそれとして、職権発動の促しでは、職権を発動しないという判断がされても、そもそも判断がされずに放置されても、不服申立ての手段がないけれどもそれでいいのかという問題や、そもそも職権発動を促すための資格というものはどのように観念されるのかという問題もあるように思いますが。

投稿: えだ | 2009/08/11 20:11

おっしゃるとおりです>職権発動の限界

でも、裁判所が無謬だという前提に立つと、「裁判所に問題点を気付かせてくれれば良きにはからってあげるんだから問題はないでしょ」ということになりますね。

手続法的には耐え難い話ですが、裁判所の方々は半ば本気でそういうことがあります。

投稿: 町村 | 2009/08/12 11:34

ちょっとというか大分ずれますが。
家事審判なんかだと、不服申立てができない(とされる)終局審判が結構あるのですよね。
確かに、最高裁の憲法判断を受ける機会が何らかの形であれば憲法には抵触しないとしても、立法政策としていいのかなぁと思わないでもありません。

投稿: えだ | 2009/08/13 20:51

そんな問題が最高裁で問題なしとされたのも記憶に新しいところです。

家事審判は確定的でないので訴訟で争えばよいというのが最高裁の言い分ですが、そんなことを実際にやったら訴訟狂扱いでしょうし、学者がそれいったら「これだから実務を知らない阿呆は」と言われそうです。

投稿: 町村 | 2009/08/14 17:58

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