arret:従業員の不実記載に社長は責任がない
株式会社の従業員らが営業成績を上げる目的で架空の売上げを計上したため有価証券報告書に不実の記載がされたことにつき,会社の代表者に従業員らによる架空売上げの計上を防止するためのリスク管理体制構築義務違反の過失がないとされた事例
原審は会社代表者の責任を認めたのだが、最高裁は認めなかった。
・通常想定される架空売上げの計上等の不正行為を防止し得る程度の管理体制は整えていた
・架空売り上げの作出は巧妙な偽装で通常容易に想定しがたい方法によるものだった
・前にも同様の手法の不正行為が行われたというような特に予見すべき特別な事情もない
・不正行為者の説明は合理的で、紛争はなく、監査法人も適正と認めていたので、財務部のリスク管理体制は機能していたといえる
以上のことから、代表取締役には不正行為を防止するリスク管理体制を構築すべき義務に違反はないとした。
やっててよかったコンプライアンス体制、というところであろうか。
ちなみに、この事件では当初、民法44条に基づく責任を訴求したが、会社法施行により会社法350条による請求をしたものとされると判示されている。
(代表者の行為についての損害賠償責任)
会社法第350条 株式会社は、代表取締役その他の代表者がその職務を行うについて第三者に加えた損害を賠償する責任を負う。
附則2 この法律の規定(罰則を除く。)は、他の法律に特別の定めがある場合を除き、この法律の施行前に生じた事項にも適用する。
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