France著作権法の改正案
2009年6月24日に閣議決定されたフランス著作権法(知財法典)の改正案は、インターネット上の文学芸術作品の刑事的保護に関する法律案と題され、刑事手続を簡易迅速にするものだが、ひとつ面白いサンクションが規定されている。
Le texte prévoit par ailleurs des sanctions pénales adaptées. Les atteintes aux droits d’auteurs et droits voisins commises sur internet pourront être sanctionnées d’une peine de suspension de l’abonnement.
つまり、ネット上の著作権侵害者に対しては、ネット利用契約の停止というサンクションを科すことができるのである。
これは新たに設けられるL.335-7条に規定されるもので、1年間のネットアクセス禁止と他のプロバイダとの契約禁止が付加刑として科される。
同一のプロバイダがケーブルテレビや電話通信事業も提供している場合、ネットアクセス禁止はテレビや電話のサービスに及ばない。また、このアクセス禁止期間中、プロバイダの利用料金は停止されないので、基本料金は支払わされる。
この禁止命令はアクセスプロバイダにも強制され、ネットアクセス禁止の言い渡しの事実が伝えられたのに契約を停止しなかったアクセスプロバイダは3750ユーロの罰金を科される。
さて、このようなネットアクセス禁止というサンクションは、日本では可能であろうか?
一つ可能性があるとすれば、アクセスプロバイダに対する行政命令の一つとして、電気通信事業法に位置づけるということであろう。
さらに、常習的なネット違法行為の実行者に対しては、著作権団体や非営利団体などがネット利用差し止めの訴えを提起できるように、団体訴訟制度を構築するということが考えられる。
適格消費者団体のような制度を新たに作るのは大変そうだが、できないことではない。
問題は、表現の自由、通信の自由や通信の秘密などの憲法的価値観とどう折り合いを付けるかと言うことなのだが、差し止め請求は複数回の違法行為が裁判上認められたことを要件とするのであれば、なんとかなるかもしれない。
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