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2009/05/13

UNIV:アカハラで自殺に至る東北大院生

アカハラというよりはアカネグ(Academic Neglect)とでもいうべきであろうか。

読売online:東北大大学院生が自殺…博士論文、2年連続受け取り拒否され

自殺したのは理学研究科で生物関係の研究をしていた博士課程の男性大学院生(当時29歳)。 大学院生は2007年12月、博士論文の草稿を事前提出したが、准教授は大学院生と十分に議論せず受け取りを拒否。准教授は06年11月ごろにも、論文提出を延期するように指示しており、大学院生は2年連続で博士号の取得に失敗した。

蛸壺のような狭い講座の悲劇ということかもしれない。
記事によれば、大学の調査委員会が調べたところ、当該大学院生の論文は博士審査に値するものだったそうだ。

ちなみにこの准教授は辞職して、処分を免れているようである。

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学問・資格」カテゴリの記事

コメント

論文受取拒否と自殺との因果関係があったとして、過失認定できるかは微妙なところではないでしょうか。「十分議論せず」ってところがポイントかと思いますが。
過失が認定され、賠償責任が認められたとしても、自殺事例なので、素因の寄与による減額がなされちゃうんでしょう。

いずれにせよ、院生としては指導教官とは良好な関係を築いておけってことですよね。

投稿: 603 | 2009/05/14 14:38

 博士論文自体が大方できているなら、学科や学部の長に事情を申し立てて、博士号を取得することはできるでしょう。
かなら別ですが、
 その結果、指導教員との関係は破綻しますが、すでに破綻しているなら、もはや失うものはないです。

投稿: Inoue | 2009/05/15 08:19

いわゆる小講座制だと、他の先生に申し立てるのが事実上難しいのかも知れませんね。
この当該大学当該部局がどうなのかは分かりませんが。

投稿: 町村 | 2009/05/15 10:48

小講座制でなくとも,指導教員の変更には相当程度の困難がともないます。
研究科長なり,学務・教務委員に申立をしたとしても,学務・教務委員会での事情調査をして,事情が判明したとしても,当該指導教員がそれを素直に認めて,変更に応じるかどうかは微妙です。
すると,強制的に変更するには,おそらくは教授会レベルで当該事情説明をした上で,承認されないといけないでしょう。
こうなってくると,当該研究科の教授会構成メンバーあるいは執行部の意識として,どうなのかということが問われるはずです。

この点でも,小講座制固有の問題に矮小化するような見方はあまり適切とは思えません。

大講座制あるいは講座制をとっていない場合でも,事実上,個々の教員がひとりひとり講座になっているようなところもありますし。

投稿: tedie | 2009/05/17 05:20

とすると、論文指導に関する指導教授の裁量ってどのくらいなのでしょうかね。

投稿: 603 | 2009/05/17 15:46

教授が「カラスの頭が白い」といえば、「はい、その通りです」といわなければいけないのが現在の大学です。どこの国も一緒だと思います。
要は大学に残る人の倫理観の問題だと思います。
人間ですから、合う合わないはあると思いますが。。。

投稿: とほほ | 2009/05/17 19:40

私は当時関西の某旧帝大の教員でしたが、下に引用したご意見と同じ考えです。当該准教授と同じ分野です。この「事件」のあと、私の周囲では「一生懸命更に良くしようとして院生やその親に恨まれるより、適当なレベルでOKとすれば、我々もずっと楽だし、そうしようか」などと言うことが冗談でなく話されました。この准教授の方は「朴訥・純粋・人付き合い下手」で権力やお金とも無縁の人で、職を辞する時は、子ども達に「いわれのない批難を受けて職を辞め、生活が非常に苦しくなるが、私を信じて頑張ってくれ」と言ったとのこと。亡くなられた院生の父君も別の国立大学の教授で、本人は父の期待になかなか添えないことを日頃気にやんでいたそうです。なお、損害賠償の民事裁判では、パワハラは認められませんでした(2015.5 岡山地裁)。
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(goo net)この新聞記事で私がまず思ったのは、自殺の原因をそんな簡単に決めつけていいのだろうか、ということであった。①では将来を悲観し、自殺したとあるし、②でも准教授の指導に過失があり、自殺の要因になったとある。

遺書に自殺の理由が述べられていたとしても、それは自分を納得させるための言葉に過ぎない可能性もある。ましてや本人が口を閉ざしていたとすると、あるのは状況証拠に基づくと称する憶測のみである。そう考えると東北大学の内部調査結果の報告書での②「准教授の指導に過失があり、自殺の要因になった」と認定の部分は、あまりにも軽すぎる。本気で調査をした上でここに述べたような結論で人を納得させようと思えば岩波新書1冊分の文書でも足りないのではなかろうか。いずれにせよその報告書が③のような理由で原告側弁護士にも提示されていない以上、第三者がその結論の是非を判断することは出来ない。

同じことが原告の訴状についても言える。私は訴状を目にすることが出来ないから新聞記事のみが頼りであるが、それにしても①大学院生は07年、元准教授に博士号取得のための論文を提出したが受理されず、その後も添削や具体的な指導を受けられなかった。このため将来を悲観し、自殺したとは表面的な叙述である。真相(もし解き明かされるとすれば)をより少ない行数で表すだけ核心から遠ざかるような気がする。

これまでも大学院生をテクニシャンのように使いたがる教員がいる一方、「自由にさせるのが最良の指導法」をモットーにしている教員も結構いた。もちろん院生が議論をふっかけてきたらいくらでも相手をするし、助言も惜しまない。しかしそれは院生が求めてきたときには、である。教員にはそれぞれの指導スタイルがあるので、院生によって合う合わないが出てきても不思議ではない。合わなければ逃げ出せばいいのであって・・・、いや、逃げ出すべきなのである。それがお互いの為なのである。ここで指導者の准教授に「アカデミック・ハラスメント」と目される行為があったのかどうか、それは調査委員会がある程度は明らかにすることが出来ようが、これも限度がある。私が以前の記事で問題にしたのは、この大学院生に自分が「アカデミック・ハラスメント」を受けているとの認識があったのかどうかで、その認識があれば「部局相談窓口」なり「全学相談窓口」に本人から相談が寄せられたのでは、と期待するからである。それが機能していたようには見えなかったので東北大学の徹底した検証を期待したが、果たしてそれがなされたのかどうかは報告書が非公開なので分からない。

仮に「アカデミック・ハラスメント」の事実が認定されたとしても、それが自殺とどう関わるのかはまた別の問題である。その意味では東北大学の②「准教授の指導に過失があり、自殺の要因になった」と認定するのは性急ではなかろうか。東北大学ともなれば「自殺問題」の専門家も当然いるだろうが、そのような専門家の助力を仰いだ上での調査・結論とはとうてい思えない。というより、個々の自殺の理由がそれぞれ解き明かされうると思うほど私は楽観的ではない。自殺の「理由」なんて、デュルケームは信じない『自殺論』エミール・デュルケーム著に目を通して、私はその思いを強くした。

裁判の争点が何になるのか素人の私には判断しかねるが、もし本人が生存しておれば「アカデミック・ハラスメント」の有無を巡って決着をつけることは可能かも知れない。しかし本人が口を開くことが出来ない情況で、たとえ肉親といえども本人の自殺の理由を忖度して、それも原因が「アカデミック・ハラスメント」にあると断じて生命を購う意味での賠償請求をするのであれば、私には話が飛躍しすぎているように思われる。せいぜい「アカデミック・ハラスメント」の判定までではなかろうか。これは子の不慮の死を嘆く親の気持ちを慮るのとは別のことである。親を悲しませないためにも、どれほど研究がわが命であろうと、その行き詰まりとかで自らの命を絶つなんて「真理の探究者」に絶対あってはならないのである。

投稿: Kamisan | 2021/09/06 15:01

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