china:中国の食品安全法
日本では毒ギョーザ事件で悪い印象の強い中国食品(でも食べている)だが、彼の地でも例のメラミン入り粉ミルク事件のほか、賞味期限切れ菓子事件などの食品問題を契機とする問題意識の高まりがあり、さらには外国への輸出の困難(これは「緑色の陣営(=壁)」と呼ばれている)もあった。
そこで、2004年に国務院が改正の方針を決め、従来の食品衛生法を食品安全法とする抜本改正が2009 年2月に成立し、2009年6月1日の施行を予定している。
南京師範大学法学院を訪問して、学生のゼミ★に参加した時のテーマがこの食品安全法であった。
その特徴は以下の通り。
第1に、食品衛生から安全という概念に変更し、規制対象をより広く、栽培、養殖、加工、包装、貯蔵、運送、販売、消費などの各段階にも及ぶ監督メカニズムを導入した。
第2に、行政効率と統一性を高め、すきま事案を埋めるために、国家食品安全委員会を設立した。
第3に、リスク情報の入手により早期警戒システムを発動させ、評価制度を充実させた。
第4に、告発制度を導入し、これに対する行政機関の措置義務を定めた。
第5に、広告で害ある食品を推薦したスターやその他の団体・個人にも、補充的ながら連帯民事責任を課した。
このうち広告に登場したスターへの民事責任は、スターが食品リスクを調査できるのかという問題があり、様々な懸念があり得るが、こういう規定が入るとどういう効果が生じるか、実験として興味深い。
また衛生から安全という概念の変更、あるいは多数の部局がもつ監督権限を一省庁に集中させるというやり方など、消費者庁を発足させようとしている日本からも興味深い改正がなされている。
この改正が中国食品の安全性向上に寄与するかどうかは、中国食品に依存している他国(日本も)の住民にとって重大な関心事だ。
★日本語と法律を学ぶダブル専攻の学部生たちで、日本語による報告を行った。
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