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2009/04/27

arret:恩知らずは許さない

最判平成21年4月23日(PDF判決全文)

 以前このブログで取り上げたように、住民訴訟で一億円以上もの違法な支出を取り戻してもらった宇治市が、原告住民の支出した弁護士費用をケチって、経済的利益は算定不能だから800万円を基準に算定すると主張し、第1審では認められなかったのだが、控訴審ではそのケチった主張が認められていた。
 本判決は、その恩知らずな宇治市に賛同した原判決を破棄して自判し、本来の経済的利益を基準として相当な弁護士報酬額を算定すべしとしたものである。
 けだし当然であろう。

法242条の2第7項の以上のような立法趣旨に照らすと,同項にいう「相当と認められる額」とは,旧4号住民訴訟において住民から訴訟委任を受けた弁護士が当該訴訟のために行った活動の対価として必要かつ十分な程度として社会通念上適正妥当と認められる額をいい,その具体的な額は,当該訴訟における事案の難易,弁護士が要した労力の程度及び時間,認容された額,判決の結果普通地方公共団体が回収した額,住民訴訟の性格その他諸般の事情を総合的に勘案して定められるべきものと解するのが相当である。  前記事実関係によれば,別件訴訟の判決認容額は1億3000万円を超え,判決の結果被上告人は約9500万円を既に回収しているというのであるから,被上告人は現実にこれだけの経済的利益を受けているのであり,別件訴訟に関する「相当と認められる額」を定めるに当たっては,これら認容額及び回収額は重要な考慮要素となる。

なおこれには宮川裁判官と涌井裁判官の少数意見が付けられているが、涌井裁判官の極めて歯切れの悪い「意見」に対して、宮川裁判官の明快な「補足意見」は、最高裁の基本的な姿勢として参考にされるべきである。

住民訴訟を住民自らが本人訴訟として追行することは困難であり,それを適切に追行するためには,専門家である弁護士に委任することが必要である。普通地方公共団体が適正妥当な額の弁護士報酬を負担することは,住民訴訟における弁護士へのアクセスを前進させ,法の実現を促進するものというべきである。

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