« | トップページ | politique:小宮山洋子の孤軍奮闘 »

2009/03/28

media:報道の味付けを味わおう

最高裁が逆転無罪判決を出した件で、J-CASTニュースの記事が面白い。

大体見出しが「破棄しないと著しく正義に反する」 最高裁にそうまでいわれた「ある犯罪」ということなのだが、この記者さん、最高裁の刑事破棄判決を見るのは初めてなのであろう。

というよりまず刑事訴訟法を読んでみることをオススメする。

全部読めとはいわない。せめて次の条文くらいは見てはどうか。
第四百十一条  上告裁判所は、第四百五条各号に規定する事由がない場合であつても、左の事由があつて原判決を破棄しなければ著しく正義に反すると認めるときは、判決で原判決を破棄することができる。
一  判決に影響を及ぼすべき法令の違反があること。(以下略)

要するに最高裁としては、刑訴法401条に基づく破棄であることを示したに過ぎず、「そうまで」いったわけではないのだ。

おまけにこの記事の次の文は、単に日本語の流れで書いているだけで、何が異例で何が「それもそのはず」なのかはお構いなしに適当に書いたのであろう。

最高裁としては異例なほど、1、2審の判決について激しい調子で糾弾している。
「軽犯罪法1条2号の解釈適用を誤った違法」
「破棄しなければ著しく正義に反するものと認められる」
それもそのはず、今回の逆転無罪判決は、5人もの「裁判官全員一致の意見」であるからだ。

ネット炎上をおもしろおかしく取り上げて煽るのと同じ感覚で判決を形容するのはやめた方がよい。

|

« | トップページ | politique:小宮山洋子の孤軍奮闘 »

ニュース」カテゴリの記事

コメント

 最高裁判決の定型フレーズなんですけど、最近の司法記者とデスクは不勉強な人が増えたような気がします。ネタや特ダネ狙う時間を少しは訴訟法の勉強に割いていただけたらと愚行します。
 ネット世代が職場の第一線に到達したからかも知れませんが、安易なコピペ文化や煽り文化それに攻撃尻馬乗車文化に警鐘を鳴らす時期なのかも知れません。

投稿: キメイラ | 2009/03/28 10:19

訴訟法は勉強しなくてもいいけど、たまたま見た判決の一部に脊髄反射して記事を書くのはどうかと思いますね。

藤代さんが、ネットで普通の人が書くレベルが低すぎると嘆いているけど、J-Cast Newsは素人が気ままに書いているメディアというわけではないでしょうに。

投稿: 町村 | 2009/03/28 17:47

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: media:報道の味付けを味わおう:

« | トップページ | politique:小宮山洋子の孤軍奮闘 »