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2009/02/26

jugement:実録ナニワのヤミ金に鉄槌

大阪地判平成21年1月30日PDF判決全文

ヤミ金が老夫婦に金を貸し付けたことを口実にして恐喝の限りを尽くし、ついに自殺に追い込んだとして、遺族に対する総額4800万円余りの賠償責任を認めた事例である。
ただし、この判決は共同被告で出席せず、全部擬制自白したものについても、出席して争った被告と同額の賠償しか認めておらず、その理由を信義則というマジックワードで誤魔化している。
この点は、弁論主義に反する判決と評価すべきである。

しかし、ヤミ金というのは金融業者の一種であると思っている人は、ぜひ判決文を読んでみよう。これは金融業というよりも、金を貸したことをきっかけとする恐喝であり、あるいは詐欺である。

判決で認定されている手口
・まずは、不招請勧誘。予め入手した名簿により、無差別に勧誘する。

・申込み者に対しては、顧客の氏名,生年月日,住所,連絡先,ダイレクトメールの宛名シールに記載されている番号等を聞き出し、組織内の他のヤミ金が既に貸していないことを確認(これが審査)した上で、①顧客の氏名,生年月日,住所,電話番号、携帯電話番号、 ②顧客の職場、職場の電話番号、勤続年数、収入、③家族,同居人及び親戚等の氏名,勤務先及び電話番号などを聞き出す。

・初めは低額の融資から始めて実績を作ってもらうとし、3万円を貸し付けて、一週間の利息が1万円だといい、一週間で返済できなければ利息だけ納めてもらえば延長するといい、実際には1万円を天引きして2万円だけ渡す。

・取り立ては、脅迫そのもの。
「殺すぞ 」
「近所に電話をして,ここに住めなくするぞ」
「会社や親戚に電話をするぞ」
「子供や孫の学校にも電話をするぞ 」
 実際、先に聞き出しておいた電話番号にかけまくり、近所の電話番号も調べてかける。

・期限前に返済した客に対しては、返すとは聞いてないと因縁を付けて返済を認めず(!)、「利息」を要求し続ける。

・期限が休日ということで翌日に支払った客には、休日前になぜ払わないかと因縁を付け、迷惑料などを脅し取る。

・自殺した本件被害者も、関連業者の以前の顧客ということで電話勧誘し、3万円の貸し付けと称して14000円余りしか振り込まなかった。

・被害者は大声で脅せばいくらでも金を払うタイプの「客」であると考え、大声で怒鳴ったり、団地の向かいの住民に電話をかけて被害者を呼んでこいと怒鳴るなどの嫌がらせをした。

・被害者が支払った金銭は返済とは認めないといい、さりとて一旦支払ったものは返せないといい、借金を完済したら返すといい、事実上取り上げた(もうなんだかよく分からない)。

・被害者が警察に相談し、警察官からヤミ金に「もうこれだけ払っているんだから取り立てなくてもよいやろ」と電話すると、被害者に対して「何警察に行っとるんや。金借りてるやろ,返さんか。」
「振り込めへんかったらどうなっても知らんぞ。大阪には知らん奴ばっかりと違うからな。絶対に完済させへんからな 」などと脅し,さらに金を振り込ませた。

・被害者が電話して「もう払えません。今まで15万円払ったでしょ。もう完済にしてください。もう許して下さい 」と頼んだ。これに対し,被告Kは「おばはん,ちゃんと振り込めよ。絶対完済させへんて言うたやろ 」と怒鳴った。

・さらに近所の人たち数軒に、被害者を呼び出せと電話がかかったり、被害者に金を返すよう言えというような電話がかかって被害者を追い込んでいった。

・そこへグルになった別業者が電話で融資を持ちかけ、またまた被害者に貸し付けたことにして恐喝が開始された。例によって4万円の貸し付けと称し、半額の2万円と振り込み手数料まで天引きする。

・利息も払えない状態で被害者が電話すると、迷惑料2000円をさらに要求する。

・被害者が一日遅れて利息と迷惑料として要求された金銭を振り込むと、次のように脅した。
「こら,おばはん,何考えとるんじゃ。延滞料払うんやったら,すぐ次の日に払わんか。29日が休みやから,30日に振り込まなあかんやろ 「迷惑かけてんぞ。すぐに迷惑料の5万円払え。」
「ワシを甘う見てるんと違うか。」
「どんなことしてでも直ぐ金作れ。」
「5万円払わへんかったら見せしめに,N(被害者の隣人)とこの息子ガタガタにしてしまうぞ。もし今日中に振り込まへんかったら,どうなるかわかってるやろな。」

・次の支払期日は休日だったので、一日遅れで被害者が支払うと、
「銀行休みやったら,前の日に振り込まんかあ 」などと因縁を付けた上,さらに「金借りてるんやったら,ちゃんと振り込まんか。ええ加減にしとかんと,ほんまにNとこの息子をガタガタにしてまうぞ 」などと脅した。

・被害者が「これ以上払えと言われたら死ぬしかありません。今回の分は振り込みますので,何とか許して下さい。」と懇願した。これに対し,被告Jは以下のように脅して、さらに振り込みを続けさせた。
「お前が金返せへんことを団地中に電話して,そこに住めないようにしてしまうぞ。金払われないんやったら死ね。」
「おばはん,明日ちゃんと振り込めよ。」

 慰藉料が、死者本人の慰藉料2000万円の他に相続人たる遺族の固有の慰藉料500万円を認めているなど、異例に手厚いということができようが、しかしそれでもこのヤミ金連中がこれまで多くの被害者から不正に搾り取った金銭にはほど遠いだろう。不正な利益剥奪のための特別制度が適用されることが必要である。
 加えて、ヤミ金の実行部隊などは所詮チンピラにすぎず、支払能力などはないかもしれない。上部団体がいるはずであり、このヤミ金どもから上納金を吸い取った上部組織に使用者責任を追及するための、特別な手当が必要なのではあるまいか。

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