2chの譲渡
バリ島に行かれている落合先生のブログではじめて知ったが、上記のようなことになっていた。
興味があるのは、現在係属中の2ch関係訴訟がどうなるかということである。
さしあたり、名誉毀損ないし削除義務違反の損害賠償請求訴訟は、西村博之氏個人を不法行為者とするものであろうから、2chの管理権限を譲渡しても変更はない。
これに対して、名誉毀損等のメッセージの削除請求訴訟や、発信者情報開示請求訴訟は厄介である。
削除請求訴訟に関しては、削除権限が西村氏になくなった以上、請求棄却とならざるを得ないであろう。改めて譲り受け企業とされるPacket Monster社を被告として訴えるか、あるいは訴訟引受(民訴50条)を申し立てて引き込むということになろうか。
(義務承継人の訴訟引受け)
民事訴訟法第50条 訴訟の係属中第三者がその訴訟の目的である義務の全部又は一部を承継したときは、裁判所は、当事者の申立てにより、決定で、その第三者に訴訟を引き受けさせることができる。
2 裁判所は、前項の決定をする場合には、当事者及び第三者を審尋しなければならない。
3 第41条第1項及び第3項並びに前2条の規定は、第1項の規定により訴訟を引き受けさせる決定があった場合について準用する。
発信者情報開示請求についても、開示すべき情報の管理権限が移れば、同様に考えざるを得ないように思う。
そうなると、もうシンガポールの会社に譲渡されたということがその通りなら、いきなり国際訴訟となり、シンガポールの会社に対する国際司法共助手続に基づく引受申立書および審尋期日への呼出状の送達から始めなければならなくなるのかもしれない。
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コメント
あくまでも現段階では、「2ch.netのドメインが譲渡された」と本人のブログで発表された、というだけのことです。
譲渡されたとする契約書の日付けや内容は一切明らかにされていません。
今回2ch.net上においてページが書き換えられたのは
西村氏が書き換え可能な権限を有するとみられる
「インフォメーション」ページ
# 2ちゃんねるガイド:基本
# ttp://info.2ch.net/guide/faq.html
のみにとどまっています。
この他、西村氏の権限が及ばないと思われる2ch.net上の複数のページ、例えば、
# 2ちゃんねるの投稿のアクセス記録の請求方法
# ttp://www.maido3.com/server/2chlog/
においては従前どおり、管理人を西村氏として表示しています。
今回の譲渡劇が、2ch運営陣全体としての意思疎通を欠いた、
さらには西村氏の独断専行であった可能性があります。
また、今回の発表で明らかになったのはあくまでも「ドメイン譲渡」のみであって、
「西村氏が2chに関わる管理権限を一切放棄した」などとは一言もありません。
例えば、『「どうやら管理人 ★」のキャップが無効化された』
というようなことが公式発表されたわけではありません。
> 削除権限が西村氏になくなった
とは断定できない、ということです。
ですから現段階では、譲り受け企業とされるPacket Monster社のもとで、
引き続き西村氏が事実上の2ch管理作業代表者を務める
(今後は、管理権限を維持しつつ君臨すれども統治せず、あるいは実際に管理権限を行使する)
可能性があります。
民事訴訟としては、これまでと変わらず西村氏を訴えて、その上で西村氏から異議があるのならば
当事者適格の有無の立証を求めるのが良いのではないでしょうか。
確かに、刑事ではいきなり訴訟になるかもしれません。しかし民事では、
最初に日本の裁判所においてPacket Monster社を相手取って訴訟を提起し、
日本の裁判所から判決をもらい、
次にこれをシンガポールの裁判所に提出して日本の裁判所での判決の効力を確認する訴訟を提起し、
シンガポールの裁判所から判決をもらって、
日本の裁判所での判決の効力をシンガポール国内に及ぼす、
という方法もあるのではないでしょうか?
投稿: うみねこ | 2009/01/04 13:34
本人のブログには、「ドメインが」とは書かれていないように思いますが。
http://hiro.asks.jp/54104.html
投稿: 町村 | 2009/01/04 13:51
大元の契約関係(ひろゆき氏と2ch所有会社との間の契約内容,今回の譲渡契約内容,譲渡後のひろゆき氏の権限義務内容)が不明ですが,ひろゆき氏が「BBS管理人としての義務と権限」を依然として保有(承継?)するのは可能かと思います(雇用?委託?派遣w)。
まずは,コントラクトペーパーというリーガルエビデンスを見てみないと(汗
投稿: キメイラ | 2009/01/04 16:36
町村先生、気が向いたらで結構ですので、解説おねがいします。
民事執行法的に考えて、西村ひろゆきから、債務を強制執行できない理由は何なのですか?
たとえ銀行口座や資産を持っていなくても、日本国内に住んでいる以上、生活費を使っていることは確かであり、その金の出所を抑えれば済むのではないでしょうか。
投稿: Inoue | 2009/07/31 12:48
民事執行には執行する財産がなければなりません。
西村氏が財産をもっていたとしても、それが明らかにならなければ差押えができません。
収入も、月給なら44万円までは1/4までしか差押えできないのです。
生活費の出所をつかむのも、勤務先が明らかでなければ難しいでしょう。
投稿: 町村 | 2009/07/31 16:43