univ:株式会社立大学の撤退
なんとも複雑な思いが交錯するニュースである。
毎日jp:LCA大学院大:09年度の学生募集停止 大幅定員割れで
これもまた、竹中平蔵元大臣が「出来の悪い企業が市場で淘汰されれば、退場するのは当然」といっていたことが現実化したに過ぎないともいえる。
予想通りのことが起こったのだから騒ぐことはないともいえそうだが、しかし従業員、教員、そして学生の立場から考えると、遺憾な結果である。
株式会社を設置母体とすることが定員割れで募集停止となることと直接結びつくものではないかもしれない。営利企業なら採算のとれない事業からは撤退するのが当然だとはいえ、学校法人だって採算のとれない事業をいつまでも続けていくことはできないのだから。現に倒産した大学は学校法人立で存在する。
某資格予備校が作った大学のように、文科省にやりますといったことをやらないでごまかして、どうしてもやれということになったら採算がとれないからその部分は撤退しますという事例もあった。これまた、営利企業だからこうなったという論理的な因果関係があるわけではない。学校法人立の法科大学院、さらには独立行政法人立の法科大学院でも、文科省にやりますといってやらないでいる例とか、申請内容が虚偽だったとか、事例があるのだ。法科大学院だけではもちろんない。そういった偽装体質みたいなのは、営利企業の専売特許ではなく、集金できないなら債権がなかったことにしてしまえという行動様式に走る社保庁とか、そっちの方がむしろひどい。まだ、採算がとれないことはしないという規律が内面化されている営利企業の方がマシなくらいである。
そういうわけで、やっぱり株式会社立の学校なんてダメダメだという結論に飛びつくのは浅薄の誹りを免れないと思うが、そのように声高に叫んでうっぷんをはらす人が一部界隈に出そうで怖い。
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コメント
町村 先生
夏井です。
私は最初から今まで一貫して株式会社形式の大学には根本的に反対してきました。声高でなかったので町村先生のお耳には全然届いていなかったかもしれませんが・・・(笑)
投稿: 夏井高人 | 2008/12/18 14:46
どれほど学校授業がうまくいっても、会社立の学校は、従来の学校法人よりも営業成績は良くないだろうと思います。
会社を形作っている民会企業の文化と、お役所にずっと近い学校経営の文化は、まるで別の国であるかのように遠い。
投稿: 酔うぞ | 2008/12/18 16:56
大学の関係でいうと、高校感覚で運営しようとする県立・市立と国立の大学教育に関する物の見方が全く違うという話をよく聞きます。
また私立も、理事会の見識とか力関係により、株式会社立よりも営利的なところが現に存在しますから、いかに夏井先生や酔うぞさんが力を込めても、一概には言えないところです。
投稿: 町村 | 2008/12/18 17:12
町村 先生
夏井です。
町村先生のご意見は半分だけは判ったんですが,(私の頭が悪いせいでしょう)残り半分は全然判りませんでした。(笑)
投稿: 夏井高人 | 2008/12/18 21:40
米国名門大学もやっぱり駄目だった。国内の大学(株式会社と学校法人を問わない)や某公的機関を擁護する理由には全くならないですけど(苦笑
エール大基金も5000億円減…ハーバードに続き
http://www.zakzak.co.jp/top/200812/t2008121861_all.html
投稿: キメイラ | 2008/12/22 00:26