裁判員候補者の不安はNETで語り合おう(by法務省幹部)
朝日.comのニュース記事より
ある法務省幹部は「候補者の氏名などの個人情報が分からないようにさえしてくれれば、こうしたサイトが増えるのは、歓迎すべきこと。情報交換しあうことで、不安に思う人が減ったり、制度への理解が進んだりするのでは」と話している。
mixiなどに、「裁判員通知が来ました」「裁判員候補者の会」「裁判員候補者名簿に記載された人」というコミュが立っているという記事である。
匿名なら問題がないというわけだが、実名表示をしている会員は、たとえハンドルネームででも参加はできないと言うことになりそうである。
しかしながら、裁判員法の以下の条文には罰則規定がない。
第百一条 何人も、裁判員、補充裁判員、選任予定裁判員又は裁判員候補者若しくはその予定者の氏名、住所、その他の個人を特定するに足りる情報を公にしてはならない。これらであった者の氏名、住所、その他の個人を特定するに足りる情報についても本人がこれを公にすることに同意している場合を除き、同様とする。
上記の記事では、裁判員候補者の守秘義務であるかのような書かれ方もしているが、これは間違いで、裁判員の守秘義務は職務上知り得た事実にかかる。そもそも裁判員または補充裁判員にならないうちは、罰則付きの守秘義務はない。自己が裁判員候補者予定者に指名されたことは守秘義務の対象ではない。
そういうわけで、私は裁判員候補者の通知書を受け取りましたとブログで書いて、不安や疑問を表明したとしても、それは法的にはなんらの効果もなく、ただ、自分自身の「プライバシーや生活の平穏を守る」という利益を放棄するだけのことである。
要するに、この条文はパターナリズムに根ざした条文であり、自らその利益を放棄する者は勝手にしろという内容のはずなのだが、なぜか、ネットでは、事実を書くことだけでもいけないことと過剰反応し、さらには最高裁までもがそれを煽るような書き方をするのだが、ちょっとおかしいのではないか。
確かに、第2文は本人の同意を留保しているので、第1文には本人の同意があっても「公に」することはできないわけだが、本人自らが「公」にしている場合をも禁止する合理的な理由は(パターナリズム以外には)ない。
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