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2008/11/30

univ:LSの教員不足のおそれ

ボツネタ経由(と書けるのは今日までか・・・)でNikkei.net:法科大学院、77%が「将来、教員不足も」を読んだが、昨日の紙版にはもう少し詳しく記載されていた。

この秋の調査の結果であろうが、この教員不足の問題は、まず単なる可能性とかおそれのレベルではない。周知のことだが、現在も教員不足は深刻で、法学基本科目の一つないし複数に専任教員がいないで苦しんでいる法科大学院が既に複数(多数?)存在する。
そういうところは、外部評価で指摘を受け、最初はたまたまいなくなった直後だとか、採用手続中だという理由で不適合とはならないで済むが、二度目はおそらくないであろう。
大体この問題、既に設立時点で表面化して、旧帝国大学の一角が認可留保に追い込まれたり、架空論文事件を引き起こすところが出てきたり、悲喜劇の要因であった。

そしてこの問題は、ロースクール固有の問題ではなく、法学部・法学研究科の専門研究者養成の問題でもある。
現在でも、法学研究科修士課程(博士前期課程)は存在するが、基礎法学や政治学の専攻者、それに留学生が多数を占め、実定法、特に基本科目と呼ばれる六法プラスワンの分野を専攻するものは、極めて数が減っている。その代わりと期待されているのが、ロースクール卒業・新司法試験合格者であり、この人たちの中から研究者志望の層(それもできれば優秀な人々)を、博士後期課程または助教にお迎えしたいと考えている。このルートが軌道に乗れば、上記の研究者=ロースクール教員不足の懸念もなくなるのだが、まだ軌道には乗っていない。
そしてこのルートの難点は、研究者に必要な語学教育をどこで行うか、また新司法試験受験のタイミングの悪さである。

理想をいえば、語学能力は学部時代に十分鍛えてもらい、法科大学院では基本科目と実務基礎とに加えて将来専攻する分野の先端発展科目をしっかり勉強してもらい、研究論文の書き方の初歩くらいはそこで身につけ、卒業後は博士後期課程に進学し、5月に受験したら専攻分野の研究に没頭、9月の合格発表は当然のお知らせをいただき、11月から1年間は実務修習に出て休学し、翌年修習を終えて復学し、残り2年で博士論文を書く。それに加えて1年か2年は助教期間を経て、無事就職して独り立ちというコースが考えられる。

最優秀な人々にとっては、無理なコースというわけでもないのだが、一般的にはまず語学能力を学部時代に十分鍛えてというところでかなり少数となるだろうし、一分野集中研究が必要な若い時期に法科大学院の教育とその後の新司法試験突破はかなり負担であろう。とはいえ旧司法試験時代にもないことではないので、優秀な人々にとっては無理難題ということでもない。
問題は、実務家としてのものの見方・考え方を教育しよう、Think like a lawyerだと言っている法科大学院教育の方向性と、研究者の養成とがマッチするかどうかというところにある。でもこれも、これからの法学研究者像は実務家のような思考/能力を備えていることが求められるというのであれば、研究者養成の方を変えていかなければならないということになるのかもしれない。
 #この点は自分でも整理できずにいる。

それはともかく、現実には法科大学院卒業・新司法試験合格者から修習中に研究者志望を固める人もいるだろうし、そういう人に向けた進路説明会のような試みを、今後進めていくべきなのであろう。

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コメント

 この記事の題名をみたとき「でもロースクールも減るから大丈夫なんじゃない?」と思ってしまいました。

 そういう不謹慎な話はおいておいて……。
 ロースクール卒業後に研究者になるというのは,ロースクールという学者ではなく実務家を育成する授業の性質上,単に遠回りの気がしなくもありません。実務「も」知っている学者というのは重宝しますが,実務「を」知っていても学者として重宝しませんから。

投稿: <う> | 2008/11/30 10:16

みなし専任とか兼担の猶予期間が10年目くらいまででしたっけ。

投稿: h | 2008/11/30 16:31

ロースクール卒業生の中にたまたま研究者向きの人が混入する可能性がないとはいえませんが、<う>さんと同じく、それって単なる遠回りのような気がします。
それに、司法試験に合格して修習期間を過ごしたあと、あえて研究者方向に向かわせるには、それなりのインセンティブが必要じゃないでしょうか。ともかく一旦は実務家を目指す方向で決意した人なわけですし。
むしろ、一旦実務に出た人が実務家としてそれなりの期間活動して、それから大学に戻るということであれば、実務の世界を実体験したという意味で真の意義があるように思います。実務をリタイアした格好で大学に入るのではなく、もう少し手前のタイミングでですね。

投稿: pede | 2008/11/30 23:02

 実務家で研究者はだしの研究を私生活で積み重ねた珠玉の至宝(司法w)を抽出する見識と努力が大学にあるか問われそうですね。喰いつめた弁護士が群がる悪寒があるだけに。

投稿: キメイラ | 2008/12/01 01:47

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