arret:女性のおしりをズボンの上から11回、気づかれないように写真に撮ったら犯罪?
表記の件について、最高裁決定が出た。しかも反対意見付き。
判決が摘示している事実は次の通り。
「平成18年7月21日午後7時ころ,旭川市内のショッピングセンター1階の出入口付近から女性靴売場にかけて,女性客(当時27歳)に対し,その後を少なくとも約5分間,40m余りにわたって付けねらい,背後の約1ないし3mの距離から,右手に所持したデジタルカメラ機能付きの携帯電話を自己の腰部付近まで下げて,細身のズボンを着用した同女の臀部を同カメラでねらい,約11回これを撮影した。」
これについて被害者は気がついていなかったのだが、多数意見は「,社会通念上,性的道義観念に反する下品でみだらな動作であることは明らかであり,これを知ったときに被害者を著しくしゅう恥させ,被害者に不安を覚えさせるものといえる」と判断した。
これに対して田原裁判官は大要次のように述べて、無罪判決が相当とした。
すなわち、本件被告人の行為は「卑わい」な行為と評価すること自体に疑問が存するのみならず、被告人の行為が同条柱書きに定める「著しくしゅう恥させ,又は不安を覚えさせるような行為」には当たるとは認められないという。
卑わいかどうかについては、お尻をズボンの上から見ること自体が卑わいといえるわけではないこと、写真を撮っても、見ることが卑わいでないものは写真に撮っても卑わいではないこと、軽犯罪法の付きまといよりも強度の「著しく」「しゅう恥」「不安」が必要な要件も満たさないと、このように説明する。
論理的な説得力という点で、田原反対意見の方が優れているとおもうが、どうであろうか?
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