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2008/10/02

jugement:橋下知事に鉄槌

広島地判平成20年10月2日(PDF判決全文

朝日.com:橋下知事に賠償命令 母子殺害事件巡る発言で 広島地裁
毎日jp:橋下知事:「光母子弁護団懲戒」TV発言で賠償命令

関連:橋下知事:「重く受け止める」 原告は「画期的判決」

この問題については、このブログでも再三取り上げている。
enquete:橋下弁護士と光母子殺人弁護団
lawyer橋下弁護士懲戒請求が政治的妨害というのもウソ!
Bar:橋下の弊害・懲戒事件が前年比7倍!
case:弁護士懲戒申立てが不法行為になることを認めた最高裁判決

後者の記事では、田島先生も、表現行為の濫用とメディアの姿勢批判を表明されている。それだけ、表現の自由との関係ではカバーできない、飛び離れた行動を橋下弁護士としてしたということだし、それを利用したテレビ番組も自らの自律性を傷つける行為を行ったということである。

 判決要旨によれば、被告人の弁解を弁護団として主張していることについて許されるべきでないとの意見・論評については、違法性がないとしている。これに対して弁護団が当該被告人の弁解を創作したとの事実を摘示した部分は、名誉毀損に当たるとした。
 そして懲戒請求をすべきことを呼びかけた発言については、懲戒に相当する弁護活動を行っているということで社会的評価をさげ、真実性も認められないとした。

 懲戒制度については、弁護士に対する懲戒請求者がその裏付け根拠を調査検討する義務があり、一般人に懲戒申立てを呼びかける必要があることは想定できず、適法行為であってもその回数や規模によっては一定の損害を与えることが可能であり、そのことを予見すべき場合には違法適法行為の使そう(そそのかし)であっても不法行為と評価することがあり得る。

 #この部分の判示は、ネットで電話抗議などを呼びかけている人々に、特にじっくり読んでもらいたい部分である。

 懲戒請求を呼びかける行為は、名誉毀損とは別個の不法行為に該当すると判示され、その違法性の程度も大きいし、橋下弁護士の呼びかけと大量懲戒請求との間の因果関係も当然認められるとした。

 #この因果関係の認定についてだけは、少々甘いように思われる。予見可能性をはっきり認定すべきだったと思われる。

 ともあれ至極当然の判決である。皆さんはどう考えるか? 昔のアンケートを再掲しよう。


 

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法律・裁判」カテゴリの記事

コメント

>そのことを予見すべき場合には違法行為の使そう(そそのかし)であっても不法行為と評価することがあり得る。

???適法行為の唆しでは???
違法行為の唆しの場合は、不法行為そのものだと思うんですが・・・

投稿: こう | 2008/10/02 20:34

ご指摘有り難うございます。直しておきます。

投稿: 町村 | 2008/10/02 21:28

で、判決に勝ったからそれが正しい?
まだ、一審なのにもかかわらずに、鉄槌?
そもそも、あなたが何もしていなければこのような裁判も
必要なかったはず。何が、橋元弁護士のあの発言を誘発させたのか
まず、あなたは考えなかったのでしょうか。
所詮、国家試験に受かるためだけの頭と脳しかなく、
弁護士とは、、、、橋元弁護士の方が人間に見えるのは
私だけでしょうか。

まず法律の能書きをブログに書く前に、
人間としてのモラルを学んでは???


投稿: 名無し | 2008/10/02 23:01

    適法行為であってもその回数や規模によっては
    一定の損害を与えることが可能であり、
    そのことを予見すべき場合には
    適法行為の使そう(そそのかし)であっても不法行為と評価する
    ことがあり得る。

けっこうデリケートですね。
そもそも、何らかの運動をすることは、相手の意志に反して対応を強制するのが目的なのだから、手段が適法でも結果が不法、という論理だと、いわゆる「反対運動は税部ダメ」とも取れますね。

実際には、完璧に適法ということを多数に呼びかけて実施するのは無理でしょうから、僅かな不適法の集合が無視できない不適法な圧力になるといったことは充分にあり得ることだとは思いますが、それは個別の事例でありましょう。

さらに、批判することが営業妨害になるというのは、しばしば見聞きする論争で、これに適用して良い考え方か?となると、大いに問題になるでしょう。

もうちょっと整理しないとまずいように感じます。

投稿: 酔うぞ | 2008/10/03 00:38

単純に反対運動が全部駄目となってはまずいというのは、おっしゃるとおりですね。
確かにデリケートです。

しかし、そういうことはよくあることです。

それ自体としては適法な行為が、他人に事実上不利益を与えることは普通にあり得ることで、その場合には目的と手段の適切性とか程度の相当性、言動による場合はその根拠の程度が一方で考慮され、他方では相手方の不利益の性質・程度が勘案されます。

今回の場合も、橋下弁護士の懲戒事由があるとの言動には、全く根拠がなく、弁護士ならそれくらいわかりそうなものだという評価がまずあって、それにもかかわらず懲戒申立てという手段を本来の目的でない抗議行動の手段として使うことを呼びかけたのだから、目的と手段の適切性は全く認められないわけです。

隣にビルが建つと日が当たらなくなるかもしれないと心配して、住民に反対のビラ配りやデモを呼びかけるという場合になぞらえると、犯罪根拠がないのに告発状の提出を唆したのに相当します。

投稿: 町村 | 2008/10/03 10:12

 すいません誤字ハッケソです。m(_ _)m

 「判決要旨によれば、……」で始まるエントリ本文3パラの「事実を"適時"した部分」は「事実を"摘示"した部分」ではないかと。細かくてすいません。m(_ _)m
 本文修正されたら、このレスも速攻で削除されてください。m(_ _)m

投稿: ハスカップ | 2008/10/03 18:41

 荒唐無稽・抱腹絶倒な弁解でも、接見で被告人がそれを強硬に主張供述して、弁護人の真摯な説得にも応じないなら、荒唐無稽な弁解に基づく弁護人の主張もありかと思います。
 被告人の主張に反しても真っ当な主張を弁護人がしても許される例外は、次の判例のような場合でしょう。
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/9FB72D8C61518FE1492570CA00269B5A.pdf(PDF注意)

投稿: ハスカップ | 2008/10/03 18:47

ハスカップさん

この判例も、刑事訴訟法上審理を進めたのが違法ではないというだけで、その弁護士が懲戒請求されたら処分されるんじゃないですかね?
被告人は死刑相当と控訴趣意書出した弁護士が民事裁判で負けた例でも、刑事裁判の方で手続を進めたのは適法とされています。

投稿: 雪蒼銀の刀 | 2008/10/04 01:50

>雪蒼銀の刀

>その弁護士が懲戒請求されたら処分されるんじゃないですかね?

 最高裁判例を読む限り、被告人の法律上の利益のために許される範囲内で独自の判断をしただけなので、懲戒にはならないでしょう。記録を見てないので正確なことは分かりませんが。

投稿: ハスカップ | 2008/10/04 08:02

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