politique:東北の寒村で村長さんが無投票３期目当選

日本の東北地方とは限らず、東北地方というのは中国にもタイにもあるので、東北地方にお住まいの皆さんは怒らないで欲しい。

東北地方のある村では、この度、村長さんが３期目に立候補し、その日に無投票当選が決まった。
ところが都会では誰もそのことを話題にしていないし、テレビでも取り上げてくれないとお冠の様子だ。

もともとこの村長さん、隣の大きな町の有力者だったところ、喧嘩別れのようにして飛び出し、あちこちを転々としたあげくこの寒村にたどり着いたのだった。

この村の元々の住民には有力な人が何人かいるし、若者もいないわけではない。有力者が交互に村長をした時期もあったが、村おこしには力不足だねということが判明したままに終わっていた。若者に二人ほどやらせてみたが、どちらも若すぎたのか、一人は詐欺師に騙されて、もともと無かった村の信用をさらに失墜させる不祥事まで起こしてしまった。

そんなこんなで、隣町の有力者だった今の村長さんが、俺でなければ駄目だと立候補したという次第。
またそんなわけで、この村長さんに対抗しようという勇気ある若者は全然いない。一人、誰からも支持されていないはぐれものが対抗するといっているが、対抗できたためしがない。要するに活力が失われて停滞しているのが現状だ。
村の論理で、村長さんが何をしたいかハッキリしなくても、とにかくみんなで支えなければと、偉いさんにみんな従うのがこの村の掟というわけである。

ところが、隣町は事情が違う。ちょっと前までは名物町長がいて、町の人気は大きく高まり、町長の息子は人気俳優になっているぐらいである。町おこしも成功して、だいぶ活気ある町となってきた。もちろんご多分に漏れず、町の財政は厳しいが、それでも借金をふやさないで活力を取り戻すことに成功してきた。ただし、貧乏な町民はますます貧乏になってきたが。

　その後、町の町長には前の名物町長の肝いりで若者が就いたが、これが情けない若者で、町民からも他の町からも全然信用されずに、一年もたつと町役場に行くとお腹が痛くなるという理由で出てこなくなった。
　仕方がないので、前の名物町長の身内から大人しそうな老人をみんなで担ぎ上げたが、この人は色々言うだけ言ったが何もしてくれず、一年で「私は自分を客観的に見ることができる。あなたとは違うんです」と言い捨て仕事を投げ出す始末。

　隣の村の村長さんは、寄り合いでおらが村がこの地方のリーダーになりたいとぶち挙げていたのだが、リーダー格だった町の町長がこんな体たらくなので、しめしめと思っていた。

　ところが、村長さんが無投票当選を決めたのに、隣の町では町長選にたくさんの人が出馬した。有名人の息子あり、有力者の孫あり、文人の孫あり、ニュースキャスターあり、軍事オタクあり、誰も名前を知らない人まで出馬すると言っている。テレビはおもしろがって町の選挙を連日報道し、注目は町の行方に集まった。
　３期目を危なげなく決めた村長さんの方は見向きもされず、隣町はケシカランと繰り言をいうだけなので、ますますテレビには映らなくなった。たまに村の誰かがテレビに出るとしたら、話題は決まって町の町長選の行方だった。（←今ここ）