legal theory:立法者意思と立法担当者の主観的認識
中山元文科大臣・前国交大臣の本音舌禍事件に関連して、表題のような問題が改めて思い出される。
世間では、立法担当者の主観的認識といわゆる立法者意思とを混同している向きが多く、立法担当官が書いた逐条解説を金科玉条のごとく思いこむ人が多い。そのような思いこみを信じて疑わない人々が、司法判断で立法担当者の主観的認識と違う解釈がされたときに、不当だと言い出すのである。適例は、文化庁が暦の読み方間違いを最後まで認めないで突っ走ってしまった著作権法解釈である。法学部・ロースクールの学生などでもその種のプリミティブな混同が目立つ。
中山元大臣は、全国学力テストの実施を唱えた担当文科大臣であって、いわば立法担当者の頂点に立つわけだが、以下のように発言している。
私は(文科相時代に)なぜ全国学力テストを提唱したかと言えば、日教組の強いところは学力が低いのではないかと思ったから。現にそうだよ。調べてごらん。だから学力テストを実施する役目は終わったと思っている。
立法担当者が何を思って政策を立案し、法律を作ってきたかは、まあこんなものかもしれない。
しかし出来上がった法律の意義目的は立法者意思と呼ばれるが、このような立法担当者の個人的・主観的思惑とは別に、客観的な情勢を踏まえて認識されるものである。
在任期間わずか5日の大臣の存在価値というのも、そのことを改めて認識する貴重な機会となったことにある。
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コメント
ここにも同類がいますね。
↓
http://www.k-kasikin.or.jp/topics/180404seimei.html
投稿: h | 2008/09/28 21:01
ああ、まあそのリンク先の主張に賛成するものではありませんが、貸金業法等の立法者意思を無視し、真っ向から粉砕した判決を最高裁が下したという事実は否定できますまい。
上記リンク先の方々は、立法者意思が何かということに誤解しているのではなく、立法者意思が絶対なのかという点で少々認識が弱いのかもしれません。
ま、そんなことは関係なく、とにかく最高裁判決憎しといいたいだけなんでしょうけども。
投稿: 町村 | 2008/09/28 21:25