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2008/08/26

jugement:弁護士を無断撮影したことに法的責任なし

大阪地判平成20年7月17日(PDF判決全文)
橋下大阪府知事の弁護士時代に、自らに対する肖像権侵害を訴えた事件である。

「撮影の方法が非礼であり,また,撮影の必要性についても疑問があるものの,原告の当時の社会的地位及び活動内容並びに取材目的等に鑑みれば,社会生活上受忍限度を超えるだけの人格的利益の侵害が生じたとまではいえないと判断された事例」

グーグルのストリートビューでも一部問題となりうる肖像権侵害を主張して、フラッシュのパパラッチ記者に対して損害賠償を求めた事例だが、橋下知事ともなれば、相当の著名人・公人であり、単に容貌を無断で撮影され、掲載されただけでは肖像権侵害は成立しない。

判決文中でも引用されている最高裁判決は、あの林真須美に対する無断撮影と法廷イラストの掲載が、写真は肖像権侵害となって、イラストはならなかった事例である。

その判決文pdfによれば、一般論として次のように述べている。
「人は,みだりに自己の容ぼう等を撮影されないということについて法律上保護されるべき人格的利益を有する(最高裁昭和40年(あ)第1187号同4 4年12月2 4日大法廷判決・刑集23巻12号1625頁参照)。もっとも,人の容ぼう等の撮影が正当な取材行為等として許されるべき場合もあるのであって,ある者の容ぼう等をその承諾なく撮影することが不法行為法上違法となるかどうかは,被撮影者の社会的地位,撮影された被撮影者の活動内容,撮影の場所,撮影の目的,撮影の態様,撮影の必要性等を総合考慮して,被撮影者の上記人格的利益の侵害が社会生活上受忍の限度を超えるものといえるかどうかを判断して決すべきである。」

本件も、これを前提として、一方では取材方法が非礼に当たるが、原告の著名性や社会的影響力からその言動を取材することに合理性があり、写真の取り方が必要性や緊急性もないとはいえ、そのようなやり方も写真週刊誌の記事に具体性をもたせるという手法として一概に否定できないとした。

かくして、「原告においては,本件取材,ことに本件撮影により相当の憤りを覚えたことは想像に難くはないものの,一方で,原告の当時の社会的地位及び活動内容並びに本件取材の目的及び必要性等に鑑みれば,本件撮影を含む本件取材によって,社会生活上受忍の限度を超えるだけの人格的利益の侵害が原告に生じたとまでいうことはできない。」と結論づけている。

最も注目に値するのは、突撃状態で写真を撮る手法が写真週刊誌の表現方法として否定できないとしたところだろう。
「かかる状況により撮影された写真を添付することにより,記事にドキュメンタリー性をもたせるという側面も写真週刊誌等の媒体における表現方法として一概に否定できないところもあり,また,本件取材(撮影)の時間及び場所に照らしても原告との関係では著しく相当性を欠くとまではいえ(ない)」

相手が橋下弁護士だからこそ言えることで、一般人についてはもちろん言えず、他の有名人についても個別に判断するしかないわけだが、パパラッチ的な取材手法が一定の場合には「一概に否定できない」とか「著しく相当性を欠くとまではいえない」と明言されているのは、注目に値しよう。

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