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2008/08/14

jugement:司法書士の懲戒(戒告)の取消を求めた事例

東京地判平成20年1月22日PDF判決全文

司法書士に対して法務局長が下した戒告の懲戒処分が、取消訴訟の対象たる処分性を有するか否かという問題である。
ロースクール生は、「行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為」(行訴法3条2項)の該当性はどういうものだったか、思い浮かべることであろう。

処分とは,公権力の主体たる国又は公共団体が行う行為のうち,その行為によって国民の権利義務を形成し,又はその範囲を確定することが法律上認められているものを指すというべきである(最高裁昭和39年10月29日第一小法廷判決・民集18巻8号1809頁参照)

さて、司法書士に対して戒告の懲戒処分をしたとして、それは国民の権利義務を形成したり範囲確定したりすることがあるのかというと、東京地裁は以下のように判示した。

「司法書士法47条1号の戒告が処分に当たるか否かを検討するに,戒告とは,当該司法書士に対し,その非行の責任を確認させ,反省を求め,再び過ちのないように戒めることである。また,司法書士法又は東京司法書士会会則をみても,戒告に伴って生ずる法的効果を定めた規定はない。そうすると,司法書士法47条1号の戒告は,被戒告者の権利義務を形成し,又はその範囲を確定することが法律上認められているものとはいえない。」

 このあと、戒告に伴う名誉信用の失墜は事実上の効果に過ぎないので処分性を基礎づけないとか、弁護士法が戒告を取消の対象にしているとの均衡論も、弁護士法とは違って取消の対象とする規定が司法書士法にはなく、そもそも戒告処分の前提に手続的な要件もない(綱紀委員会のような制度はもちろん、聴聞弁明の機会すらない)のであるから、立法政策として戒告を取消訴訟の対象としなかったとみるべきだと判示している。

 しかし、ここまで来ると、では戒告なる処分を国が下したとしても、事前にも事後にも争う余地は全くないのかという疑問が生じる。
 可能性があるとすれば、処分根拠事実がないのに処分を下したとして国家賠償請求を立てることぐらいであろうか? しかしそれも故意過失が要件となるのであろうし、間違った処分を取り消すことには同視できない。

 仮にこの裁判所の解釈論を受け入れるとしても、立法政策として間違っているのではないか?

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コメント

そうしますと

司法書士は「法務局長が下した戒告の懲戒処分は法的に無意味であると裁判で確定したので、無視します」とか言うことになるのでしょうか?

投稿: 酔うぞ | 2008/08/14 10:02

ほぼ、そういうことになるのでしょうね。

投稿: 町村 | 2008/08/14 10:11

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