LS志願者数も倍率も過去最低
見逃していたニュースだが、今年の新入生に関する志願状況、つまり昨年の入試倍率が過去最低だったという話である。
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志願者は前年度比5652人減の3万9555人で、倍率は6.8倍(前年度7.8倍)。入学者全体に社会人経験者が占める率も29.8%(前年度比2.3ポイント減)と、いずれも04年度の制度導入以来最低だった。
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この3万9千人余りというのは、重複受験があれば複数カウントされる数であり、実数はもっと少ない。実数は、法科大学院適性試験の受験者数から判明する。
ほぼ全員が受験するとみられる大学入試センターの適性試験は、昨年の場合15,937人であった。平均して2校以上を受験しているわけである。
ちなみに、その昨年のデータに対して、今年のデータも既に判明している。今年はさらに減って、13,138人、なんと17%の減少である。昨年は一昨年に対して13%程度の減少率であったから、減少率はさらに大きくなっている。減少数も増えているから、法科大学院離れが加速していると言うべきであろう。
この志願者の減少は、上記ニュースでは社会人が夢をいだけなくなって減っているんだと分析されているが、大学卒業見込みの受験生もそれなりに減っているので、社会人だけの問題ではない。
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定員割れも依然として目立ち、充足率が80%未満の大学院は全74校中16校(私立15校、国立1校)で、07年度の6校(すべて私立)より10校増えた。
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「依然として」という言葉の使い方を誤っているのではないか。前年度より3倍近くなったのだから、定員割れは激増したというべきなのである。
さらに修了認定率は全体で80%程度、既修は90%程度で未修は73%程度ということである。この数字が適正かどうかは、数だけからは全く不明と言うしかないが、それなりのスクリーニング機能は果たしていることが想像される。
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コメント
関西学院大学ロー教授の徳岡宏一朗と申します。
23日に東京弁護士会で新司法試験に関する意見交換会というのがございまして、わたくし、何度か発言をしたんですが、最後に、
「現行司法試験の最高受験人数は5万人を超えたことがある。それに対して、適性試験は減りに減って1万3千人。ロースクール74校中50校以上で定員割れを起こすのは必須である。これは我々法科大学院が消費者から『NO!』といわれたのだと考えるべきである。」
と言ってしまいました。
うなづいてくださっている実務家教員も多く、ほんとうに法科大学院で教えるもの全てが深刻に考えなければいけないと思います。
投稿: 徳岡宏一朗 | 2008/07/25 15:52