旧bar-exam2008民訴
法務省サイトの問題より
第 1 問
弁論準備手続について,口頭弁論に適用される諸原則を踏まえつつ,手続の特徴及びその終結の効果を論ぜよ。
第 2 問
債権者Xの保証人Yに対する保証債務履行請求訴訟に,主債務者Zは,Yを補助するため参加した。
1 第一審でY敗訴の判決が言い渡され,その判決書の正本が平成20年7月3日にYに,同月5日にZに,それぞれ送達された。Yはこの判決に対して何もしなかったが,Zは同月18日に控訴状を第一審裁判所に提出した。この控訴は適法か。
2 Y敗訴の判決が確定した後,Yは,Zに対し,求償金請求の訴えを提起した。
仮に,Yが,主債務の存在を疑わしめる重要な証拠であってZの知らないものを所持していたにもかかわらず,XY間の訴訟において,その証拠の提出を怠っていた事実が判明した場合,Zは,YZ間の訴訟において,主債務の存在を争うことができるか。
第1問で問われる諸原則としては、公開主義や直接主義が真っ先に思い浮かぶ。逆に口頭主義は、口頭弁論よりも弁論準備手続の方が充実活性化が期待できるというべきかもしれない。
当事者の対席の保障も、口頭弁論の諸原則という表題で取り上げることは比較的少ないと思うが、とりわけ弁論準備手続においては重要な規律(169条)が置かれている。
不熱心訴訟追行も問題となりうる。
終結の効果は、ご存じ失権効がなく、説明義務があること、適時提出主義との関係や終結後の新主張が時機に後れた攻撃防御方法となりうる可能性などが思い浮かぶ。あまり深追いすることはないのかもしれないが、審理計画が定められた場合とそうでない場合との違いやその理由についても論じてみると、多少は面白いことになる。
第2問は、1が上訴権と上訴期間進行の起算点の問題。前提として被参加人が上訴しないのに参加人が上訴できるか、訴訟行為の抵触にならないかも問題だが、これはよいとして、この問題では主たる当事者について上訴期間が徒過している以上、参加人による上訴も不適法というのが判例通説の帰結である。
2は参加的効力の及ぶ範囲であり、結論としては46条4号にそのまま当てはまりそうである。しかし、主債務者が知らないで保証人が知っている、主債務の存在を疑わしめる重要な証拠とはどういう場面が想定できるだろうか? 保証人が主債務者の無権代理人となったということかな? しかしそれなら無権代理行為をしたことを主債務者が知らなくとも、主債務者自身の契約締結行為不存在を主債務者が知らないということにはならない。あるいは、保証人が独自に弁済したってことなら主債務者が知らないこともありうるが、その提出を怠って敗訴するという事態もなかなか考えにくいものがある。
なにか見落しがあるのだろうか?
第1問については、下記文献の450頁以下、特に462頁以下の「争点整理と民事訴訟の基本原則との関係」がまとまっていて分かりやすい。
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