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2008/07/18

arret:発信者情報開示請求棄却例

いくつかの点で注目に値する裁判例だ。

知財高判平成20年7月17日PDF判決全文

堀江裁判の傍聴記を書いてインターネットで公開したところ、それをブログに転載されたという事件で、当然著作権侵害が認められると思いきや、傍聴記は事実の伝達に過ぎず、創意工夫も些細な点に過ぎないので、著作物ではないと判断され、知財高裁も同様の判断を下したものである。

証言の内容を記載した部分は、そのままの記載か、要約だとしてもありふれた方法での要約だから、「原告の個性が表れている部分はなく,創作性を認めることはできない。」

分かりやすさのために原告が付け加えた見出しについても、「このような付加的表記は,大項目については,証言内容のまとめとして,ごくありふれた方法でされたものであって,格別な工夫が凝らされているとはいえず,また,中項目については,いずれも極めて短く,表現方法に選択の余地が乏しいといえるから,原告の個性が発揮されている表現部分はなく,創作性を認めることはできない。」

また、主尋問と反対尋問の内容から経歴をまとめたり、何も言わなかったということは理解していたというような解説を加えた部分があっても、以下のように判示されている。
「原告の主張する創意工夫については,経歴部分の表現は事実の伝達にすぎず,表現の選択の幅が狭いので創作性が認められないのは前記のとおりであるし,実際の証言の順序を入れ替えたり,固有名詞を省略したことが,原告の個性の発揮と評価できるほどの選択又は配列上の工夫ということはできない。原告の主張は採用できない。」

さて、気になるのは、どのブログなんだろうかということだが、原告の傍聴記は堀江貴文ライブドア事件裁判傍聴記のことであろう。判決文で出てくる言葉をgoogle検索してみると、ぴったりヒットする。

Yahoo!ブログにあるという転載したブログは、ヒットしないので、特定はできなかった。
まさかgoogle八分されているのだろうか?

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コメント

ある程度以上に納得できますね。

わたしの書いている事なんて、どこに持って行っても結構、と思ってます。

また、創造性といったものも主張するほどのことはないと思います。

しかし、機械的に検討すれば長年同じスタイルで書いているのだから・・・といった要素も出てくるかもしれませんが、真に権利に相応しいと言えるレベルについては、もっと引き上げて良い考えています。

投稿: 酔うぞ | 2008/07/18 19:25

こんな記事がありました。

    
    裁判傍聴記は著作物にあたらないとの知財高裁の判断
    
    報道はこちら
    
    裁判傍聴記は著作物にあたらず 知財高裁「ありふれた表記」
    と指摘 - MSN産経ニュース
    
    判決文はこちらから
    
    平成20(ネ)10009 発信者情報開示等請求控訴事件 (著作権)
    平成20年07月17日 知的財産高等裁判所
    
    知財高裁の裁判官は、ネット上の裁判傍聴記の氾濫を
    常日頃苦々しく思っていて、
    「著作権が認められないなら、書いてもしょうがないや」と、
    著者の執筆意欲を失わせようとして、このような判断をした・・・・・・
    
    というのは冗談です(^^)
    
    判決文に引用されたブログの内容を見る限りでは、
    「これじゃしょうがないよね~」と思います。
    
    あくまで事例判断であって、
    裁判傍聴記一般に妥当するものではありません。
    
    私が良く見るのは
    
    霞っ子クラブの裁判傍聴記
    
    (この記事についてのコメントもあります。)
    
    阿曽山大噴火コラム「裁判Showに行こう」 : nikkansports.com
    
    今井亮一の交通違反バカ一代!
    
    などですが、これらが
    「ありふれた表記で格別な工夫が凝らされてはおらず、
    筆者の個性が発揮された部分はなく、創作性は認められない」
    (上記判決)なんて、とても言えたもんじゃありません。
    
    (「霞っ子クラブ」さん、ブログ閉鎖しないで~)


実は、前のコメントを書いてから問題のブログを見に行ったのですが、いわゆるまとめサイトのノリで、かつまとめサイトほどの編集はなく、著者の主張もない、という印象でした。

正に「これじゃしょうがないよね~」です。

わたしが書いているのも元は報道記事だから「勝手に使ってね」と考えているのですが、もっと機械的に情報を並べただけで「転載厳禁」を宣言しているサイトもありますね。

こうなると、ある種の落とし穴のようなもので、情報が広まっていくことを抑止するために権利主張しているとしか思えません。

判決としては、現実的と言えると思います。

投稿: 酔うぞ | 2008/07/21 13:19

まあ法廷で見聞きしたことを、とにかく描写するというタイプのページなのですが、これが著作物性を認められないとすると、たいていの新聞記事は著作物ではないことになりそうです。

新聞協会はやぶ蛇を恐れてほっかぶりして、従前の主張をとにかく掲げ続けるだけということのようですが。

投稿: 町村 | 2008/07/22 08:41

 「(報道する)事実の選択も意見である」というテーゼを金科玉条にするんでしょうね。>新聞協会
 そうでなかったら、裁判官や弁護士の訴訟活動や傍聴人の反応という「感想」を「主観を交えて」著作権性を確保するかもです。

投稿: ハスカップ | 2008/07/23 00:30

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