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2008/06/04

Mediaの読み方:週刊ダイヤモンドの場合

カテゴリ付けに迷うところだが、
Yahoo!ニュース経由のダイヤモンド・オンライン:消費者庁創設の背後に見え隠れする「弁護士利権」
この記事はある意味で記事の読み方を教えてくれる好教材だ。
元記事

記事は、要するに消費者庁設立の動機に弁護士過剰に悩む日弁連の利権追求思惑があるというもので、それが証拠に多数の弁護士議員が推進し、日弁連会長も「消費者問題に詳しい弁護士を送り込むこともできる」と首相にいったということが指摘されている。

地方の消費者支援団体にも多くの弁護士が関わっているので、それらとの連携は過払い金バブル後の需要創出に期待してとのことだという。

なるほど実に分かりやすい見方なのだが、何が分かりやすいかといって、この記事を書いた津本朋子という人が普段世の中をどのように見ているかが実に分かりやすく示されている。
少なくともこの人にとっては、世の中の制度論は利権がらみであり、大義名分の裏に欲望が渦巻くという世界観を普段から持っているということなのだろう。さらには、そのような構図が汚いものであるという価値観も、透けて見える。

そういう世の中の見方は、確かに多くの場合当たっていたりするが、それは合理的な制度というものが、いわゆる正義に適うというだけでなく、経済的にも合理的なものであるべきということでもある。

一部の担い手が犠牲となって殉教者的な働きを要求される制度というのは、美しいことは美しいが、長続きはしない。それでも歯を食いしばって続けている活動は沢山あるし、それはその活動に社会的意義があり、支持され、求められているからだが、経済的基盤が脆弱であれば、その社会的期待に応えるだけの活動は結局できない。金持ちの片手間ならまだしも、素人の自己満足的NPOは、その活動が美しいだけに経済的基盤がないのがいかにも惜しい。
そこで多くの団体は、経済的基盤造りに奔走することになる。自己の有する資産(有形無形とも)を活用したり、行政に頼ったり、市民に頼ったり、企業に頼ったり・・・。

消費者庁をめぐる動きにも、消費者団体の側で経済的支援につながるのではないかと期待する傾向がないとはいえない。経済的ということの意味が、単に補助金のような資金提供というだけでなく、消費者行政が多くの仕事を担当し、それを民間の消費者団体と共同して実行するのであれば、民間側としては活動の精神的、物質的、領域的、そして資金的な基盤となる。その活動は消費者団体の本来の目的に適うものである限り、むしろ積極的にそうした関わりを期待しているだろう。

 #実は国・行政の政策目標と民間団体の目的とが一致するかどうかには危ないところもあるので、おんぶにだっことなってしまえば民間側の自殺行為にもなりかねないのだが、それは別論とする。

 この記者は、そうした関係を「利権」としか見られないようであり、しかもそれを汚いものと評価するあたりは、掲載誌の性格を思わず疑ってしまうのである。

 まあもっとも、かつて民間活力の活用とかいってリゾート法みたいなのを作り、多くの利権を引き寄せて無駄使いを繰り返し、政策目標はなんだったっけという経験が何度もあったから、そのような見方が先に立つのは無理からぬところかもしれない。
 あるいは、行政の肥大化と天下り機関のさらなる開拓ということにつながるのではないかという危惧なら、常に忘れないようにすべきだろう。
 それでも、消費者側にたった活動が「利権」の名に値するほど儲かるものという発想自体、根拠がないものである。そのように見られるほど経済的に合理的な活動になれば、日本の消費者を取り巻く情勢も少しはよくなると思うが。

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