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2008/06/13

jugement:ヤフオク詐欺にYahoo!は責任なし

名古屋地判平成20年3月28日(PDF判決全文)

詐欺防止のための努力をしなくていいといったのではないので、念のため。

注目のオークション利用契約の性質について、基本的にガイドラインに準拠することを認めつつ、以下のように判示する。
「被告が利用者間の取引に積極的に介入してその取引成立に尽力するとまで認めるに足りる証拠はなく,本件利用契約が仲立ちとしての性質を有するとはいえない。」
「本件利用契約は本件サービスのシステム利用を当然の前提としていることから,本件利用契約における信義則上,被告は原告らを含む利用者に対して,欠陥のないシステムを構築して本件サービスを提供すべき義務を負っているというべきである。」
「被告が負う欠陥のないシステムを構築して本件サービスを提供すべき義務の具体的内容は,そのサービス提供当時におけるインターネットオークションを巡る社会情勢,関連法規,システムの技術水準,システムの構築及び維持管理に要する費用,システム導入による効果,システム利用者の利便性等を総合考慮して判断されるべきである。」

 具体的に義務有りとされたのは詐欺被害に対する注意喚起だけであり、信頼性評価システムの構築、出品者情報の提供開示、エスクローサービスの義務づけ、補償制度の充実などは義務として認められないとした。

そして、「上記判断によれば,被告には,時宜に即して,相応の注意喚起措置をとるべき義務があったというべきところ,上記認定によれば,平成12年から現在まで,被告は,利用者間のトラブル事例等を紹介するページを設けるなど,詐欺被害防止に向けた注意喚起を実施・拡充してきており,時宜に即して,相応の注意喚起措置をとっていたものと認めるのが相当である。」

以上により、その他の争点について判断するまでもなく、請求棄却となった。

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