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2008/06/18

ADR:苦情処理の真相は?

ある業界では、2007年度に3万1518件の苦情が寄せられた。
その業界では弁護士や専門家による解決処理手続の紛争処理委員会を設けているが、上記の苦情のうち紛争処理委員会に回されたのは1.2%の387件にとどまっていた。

さて、消費者側からは、苦情処理の仕組みが活用されていないとの批判。
業界側からは、委員会に回す前に、契約者との話し合いで苦情は解決していると評価している。

あなたはどちらが真相に近いと思うか?

元ネタは朝日.com:苦情の99%、専門家経ず「解決済み」 金融業界団体

苦情件数が約1万7千と最も多かった日本損害保険協会は、0.1%しかトラブル解決のための委員会に回していなかった。約1万件が寄せられた生命保険協会も、0.3%しか委員会に苦情を回していなかった。・・・全国銀行協会の場合、苦情件数は2174件だが、弁護士会の仲裁センターに回したのは1件だけ。

この話、有罪率の高さをめぐる評価とよく似ている。
刑事裁判になっても99.99%が有罪なんて、刑事裁判は機能していないとの批判があるのに対し、無実の事案は裁判になる前に解決しているからとして、高い有罪率を評価する立場もある。

刑事裁判の場合は、まだプロセスの正当性を検証する道も開かれていて、取り調べ過程の可視化が進めばもっと適正コントロールが可能になる。
これに対してADRには、そのような検証可能性があるとは言えない。もっと透明性の高い手続にしていく必要があるのだ。

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