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2008/06/11

犯行予告は110番の意義

落合ブログ経由で、次のような発言に行き着いた。

「殺人、爆破、傷害などのネット上の犯行予告を把握した場合は、110番通報してほしい」(マイコミジャーナル
これらを見た人は、ISPに通報し、ISPが警察に通報するという流れを予定している。

しかし・・・

落合先生は以下のように懸念している。
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インターネット上で流れる「犯行予告」や類似の情報はかなり多く、それらについて、実際に次々と通報があった場合に、長崎市長に関する貴重な情報すら放置してしまったような警察が、どのような基準に基づき、どの程度対応するつもりでいるのか、是非聞いてみたいものです。
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実際、上記のような「犯行予告」が通報に値するものなのかどうかは、ネット上の書き込みだけ見ても分からないというのが本当のところだ。
アキバ通り魔事件の直後にも、池袋で人を殺しますというスレッドを2ちゃんねるで見かけたし、某紙の記者は別の場所での殺人予告を見かけたといっていた。これらは、かなり悪質ではあるが、一種のパロディのつもりなのだろう。それ自体非難に値するかどうかは別として、見え見えの悪ふざけの場合、通報するのはためらいを感じる。

爆破予告とか殺人予告とかも、そのほとんどはイタズラであって、そのイタズラも害悪の対象が特定の人や組織に向けられていれば業務妨害とか脅迫とかに当たる可能性があるが、「秋葉原で人を殺します」「池袋を血の海にしてやる」の類では、不穏な言動というだけであって犯罪ではなさそうである。

他方、まさにその不穏な言動をまき散らして実際の犯行に及んだ人が現れたばかりであるから、一種のモラルパニックに陥って、上記のようなイタズラがほとんどの書き込みでも通報して欲しいというのは分からないでもない。万に一つも犯罪防止につながれば良いのだというわけである。

ネット自殺予告についても、一時期同じような話になり、通信の秘密も突破して本人情報を確認して自殺予防につなげるということになった。その成果として多数の自殺事案を防いだという報告があったが、無差別に人殺しをするというのも社会的な自殺行為に他ならないわけで、共通する問題なのだろう。

そういうわけで、警察が極めて多数のイタズラ・悪ふざけの類を通報してもらって、そのすべてを調べ上げて未然防止につなげるというのは、あまり現実的ではないが、そのような姿勢に向かいたいというのは現時点では分からないでもない。

ネット環境が良い方向に向かうとすれば、ネット上の犯行予告を現実にうつした奴がいるということがテコとなって、「そういうことはたとえ悪ふざけでもしてはいけない」という規範がネットユーザに内面化されて共有されることであろう。
そのことがネットリテラシー教育でも伝えられるべきだし、その意味では今回のアキバ通り魔事件の経過は重要な教訓を含んだ教材といえる。

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コメント

ttp://d.hatena.ne.jp/okumuraosaka/20080608/1212930609に
  2 「こいつらを殺します」
と書いてしまいました。
 自首してきます。


投稿: 奥村徹(大阪弁護士会) | 2008/06/11 11:53

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