Pub-comme:電子商取引準則改定
経産省の「電子商取引及び情報財取引等に関する準則改訂案」に対する意見公募が、現在募集中である。
期間は6月2日まで。
非常に興味深いのは、無断リンクの著作権侵害の可能性について、かなり踏み込んだ方向性を示そうとしているところであり、危ないことはするなと言うところに落ち着いている点である。
「ただし、リンク態様が複雑化している今日、ウェブサイトの運営者にとっては、ウェブサイトを閲覧するユーザーから見てどのように写るかという観点からすれば望ましくない態様でリンクを張られる場合があり、例えば、ユーザーのコンピュータでの表示態様が、リンク先のウェブページ又はその他著作物であるにもかかわらずリンク元のウェブページ又はその他著作物であるかのような態様であるような場合には、著作者人格権侵害等の著作権法上の問題が生じる可能性があるとも考えられる。さらに、そのようなリンク態様において著作者の名誉声望が害されるような場合には、著作者人格権の侵害(著作権法第113 条第6 項)となる可能性もあるであろう。」(43頁)
この部分の直前には「サーフェスリンク、ディープリンク、イメージリンク、フレームリンク、インラインリンクの個別の態様でのリンクを張る行為自体においては、原則として著作権侵害の問題は生じないと考えるのが合理的である。」とあるので、あくまで、誤認混同をもたらして不正な利益を得ようとしたり、リンク先を貶めようとしたりしている場合に限られるのだが、フットノートで引用されている文献などでは、より一般的に無断リンクを規制したいとする発想が見え隠れし、中にはリンクが公衆送信権侵害になりうるという説まで紹介されているのを見ると、どうかと首をかしげたくなる。
また、小括での次のような記述は、あまりにチキンな対応を求めすぎていると評価せざるを得ない。
「リンクの法的な意義については必ずしも明確な理論が確立しているわけではなく、また、無断リンクを巡って様々な紛争が生じている現状を考慮すると、「無断リンク厳禁」と明示されているウェブページにリンクを張る場合には、十分な注意が必要である。」(44頁)
閲覧者とリンク先との間で行われる送信行為は、リンクに起因するとは言っても、リンク先の送信可能化設定に基づいているのであり、そのことを無視した法的意義付けはあり得ない。
「無断リンク厳禁」と明示しようがしまいが、不正競争行為になったり名誉信用毀損になったりするリンク態様が許されないことには変わりないのであって、法的には全く無意味な表示である。
たとえて言うなら、「無断で私の顔を見ること厳禁」と書いた札をぶるさげて町を歩くようなものである。
その場合でもなお、法的に保護されるべき正当な利益がある状況であれば、その侵害が不法行為となる場合はあり得る。しかし、わざわざなんらの閲覧制限もかけないページを公開しておきながら、単にリンクを設定されただけで侵害となるような「利益」というのは、中々考えにくい。
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