匿名mailの裁判官逮捕
フリーメールで十数通送りつけたとして、ストーカー規制法違反となったということだが、この判事さんは恋愛感情をもってメールを送ったわけではないと弁解しているようだ。
読売online:下山容疑者が「ストーカーのようなメールは送ったが、恋愛目的ではない」などと供述し、同法に抵触しない旨の主張をしている
例によって警察リーク情報なので、間違っているかもしれないが。
ストーカー規制法には「特定の者に対する恋愛感情その他の好意の感情又はそれが満たされなかったことに対する怨恨の感情を充足する目的」というのが要求されている。
それ以前に、そもそも十数回のメールが同法の「つきまとい行為」に該当するかどうかも疑問はある。
しかし、普通に考えて、恋愛感情を抱いた異性にアタックすることはごく自然なことなのに対し、恋愛感情もないのに「今度いつ会えるかなぁ」なんてメールを十数通、それも20代の若い女性に送りつける50代の中年男性って、気持ち悪くないか?
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コメント
マスコミ報道によりますと、警察に捜査を促したりと「第三者を装う偽装工作(犯人性の偽装)」をする罪障隠滅工作をしていたので逮捕に至ったみたいです。気持ち悪いです。
また、マスコミ報道によると、ウェブメールをネットカフェから使えば、犯人の特定を撹乱できると思い込んだ節があるみたいです。きっと、そういう誤った情報を垂れ流す法曹のコメントを信じていたかも。
メールヘッダを見れば、ウェブメールでも、ウェブメールサーバへのアクセス元(リモホやIPアドレス)がバレバレなのをきっと知らなかったのでしょう。
十数通もメールがあれば、IPアドレスとタイムスタンプのクロスリファレンスによって、かなりの範囲で推定的犯人を絞り込むことが可能です。
メールによるストーキングは、自殺行為に等しいです。(゚Д゚)マヂデス
投稿: ハスカップ | 2008/05/23 00:52
>ハスカップさん
所詮HTTPなんで、その気になればなんとでもという気はしますが…。解ってない奴ほど、そういうことを安易にするという面はあるとおもいます。
投稿: Toshimitsu Dan | 2008/05/23 09:44
>壇先生
ご指摘のとおり、不勉強な人ほど安易にやってしまうみたいですね。技術でも法律でも知ったかぶりが一番軽々にやってしまうみたいではないかと・・・。
特にネットの安易なコピペ情報は、間違ったものが多いので、玉石混交の中から正しい情報をチョイスすることが肝要かと思います。
投稿: ハスカップ | 2008/05/23 09:55
都留支部時代に裁判官が警察に捜査を促しているのに、都留支部時代にはトレースできなかったあたりがこの種の問題の捜査の難しさを示していますね。
投稿: 小倉秀夫 | 2008/05/23 10:26
>都留支部時代にはトレースできなかったあたり
単に捜査着手検討待ちだっただけでしょう。
「裁判官に言われて捜査に着手した」では司法の独立性から疑義があるので、警察庁の法的判断を仰いだものと思われます。
ヘッダを見れば、発信元IPアドレス(リモホ)がすぐに判明するので、今のハイテク犯罪捜査官なら、それほど難しいトレイスバック捜査ではないはずですよ。
投稿: ハスカップ | 2008/05/23 10:43
ちなみに、マスコミ報道によれば、事実経過の時系列は次のとおり。警察庁への問い合わせや検討なんかで遅れたのではなく、着手自体が3月下旬だったみたいです。着手後20日程度で告訴受理までいったわけですから、捜査(トレーシング)は別に遅れたわけではないですね。
http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/080522/crm0805222218042-n1.htm
> 調べなどによると、下山容疑者は同支部長だった今年3月、大学時代の同級生で警察庁の局長級幹部に「自分の職場の部下の女性がストーカーに苦しんでいる。どうにかならないか」と相談。警察庁から連絡を受けた山梨県警本部長が3月17日、下山容疑者から相談内容を確認した。
> これを受け、県警は翌18日に女性から事情を聴き、捜査を始めたという。
http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/080522/crm0805222218042-n2.htm
> 女性は4月10日、県警に告訴。県警は、ストーカー行為がすでにやんでいたことから、ストーカー規制法に基づく警告は行わず、出頭要請に応じた下山容疑者を5月21日、逮捕した。
投稿: ハスカップ | 2008/05/23 12:07
>ハスカップさん
携帯電話宛のメールは、キャリアがヘッダーを保存してたかどうか自信が無いのですが、どうでしたっけ?
投稿: Toshimitsu Dan | 2008/05/23 12:19
>壇先生
そこは、キャリアによって扱いが異なるので個別にお問い合わせいただくしかないと思います。
ヘッダそのものは保存していなくても、課金の関係でメールの送受信ログはたいてい残していると思います。送信アドレス・受信アドレス・タイムスタンプは最低残していると思われます。
投稿: ハスカップ | 2008/05/23 12:32
告訴は、被疑者不詳のままで行ったのではないですか?
投稿: 小倉秀夫 | 2008/05/23 15:37
マスコミ報道を総合すれば、告訴受理前に裁判官が犯人と迅速に特定され、捜査対象になっていると東京高裁が聞知したみたいですね。「被疑者不詳」の記載は当初の被害届なのでしょう。
投稿: ハスカップ | 2008/05/23 16:50
ちなみにストーカー規制法では、警告後の禁止命令等に違反するストーカー行為は非親告罪ですが(14条)、警告禁止命令なきストーカー行為は親告罪です(13条)。
そのため、逮捕状やガサ状の令状発布疎明資料として告訴を要するものとして取り扱われたのではないかと「想像」してます。親告罪の通常逮捕では、告訴状がないと裁判官はなかなか逮捕状を発布しないと聞いています(伝聞)。
投稿: ハスカップ | 2008/05/23 17:08
今日の日経新聞朝刊によると、むしろ無言電話の方から足がついたようなことが書かれているのですが、今のハイテク犯罪捜査官でもウェブメールからのトレースは難しいのでしょうか。
投稿: 小倉秀夫 | 2008/05/26 14:15
一般的には、ログが全部そろえば、発信元の端末又は端末にアドレスを割り当てているルータまではたどり着けるが、自宅の端末で無い限り、その端末が専有されていた事は証明できないでしょう。公衆電話みたいなものです。
また、ネットワーク技術者がトレースを避けようと思えばいろいろな手段があり、ほぼトレース不可能です。
身元を明かして正規に購入した携帯電話は簡単に捕まりますね。犯罪者は違法な携帯電話を使用している場合もあるようですが、これは困難です。電波の発信場所をある程度の広さで絞り込める程度でしょう。
投稿: 阿呆 | 2008/05/26 14:31
ウェブメールのメールサーバのアクセスログなら差押え令状ですぐ出るそうですよ。どこが難しいのでしょうか?
投稿: ハスカップ | 2008/05/27 01:14
どこが難しいのかは分かりませんが、報道によれば、ウェブメールからのトレースで犯人を突き止めたのではなく、無言電話の方からトレースしていったようです。
ただ、私が被疑者不調のまま告訴した案件でも、複数のネット端末が置かれているインターネット喫茶において、誰と誰がその時間帯にネット端末を操作していたかは記録があるけれども、問題の情報送信を行った端末がどれであるのかを機械的には特定できないとされた例があるので、環境次第では特定が難しい例があるのかもしれないですね。
投稿: 小倉秀夫 | 2008/05/27 11:00
ハスカップさん、smtpログと、httpログ、プロバイダのルータのログまで取っても個人にたどりつけないって事ですよ。それらのログは差押え令状で取れても、特定のPC又はPCがぶら下がってるルータまでしかたどれない。パスワードで保護された個人のPCで被疑者以外がそのPCのパスワードを知らない事まで証明できないと個人にはたどり着けない。自宅のPCでも家族共用なら、家族や来客のうち誰かまでだし、ネットカフェなど不特定多数が使用するPCなら、公衆電話と同じで、そのPCからだと特定できても、誰が使ったかは無理でしょう。個人のパスワードがかかったPCを自宅からとネットカフェの両方で使用していれば、自宅では犯罪になるメールを送信していなくても捕まるかも知れませんね。ネットカフェでしか使っていないIDで送信していれば、自宅は判明しない。
さらに、海外のhttpプロキシや、匿名メールサーバなどを経由していれば、ログも取れない。情報機関並みにそれらのログを取れたとしても、送信先まで秘匿できる匿名メールシステムもフリーで提供されていますし、IP接続の時間もスクランブルされるので、ネットワーク技術者が本気でやれば、プロの情報機関でも簡単には突き止められないのですよ。
投稿: 阿呆 | 2008/05/27 11:12
>誰と誰がその時間帯にネット端末を操作していたかは記録があるけれども、問題の情報送信を行った端末がどれであるのかを機械的には特定できないとされた例があるので、
そこから先はクロスリファレンス捜査でしょうね。IPアドレスだけで犯人性が特定できるなんて、もはや誰も言わない時代ですよ。
投稿: ハスカップ | 2008/05/27 11:27
>IPアドレスだけで犯人性が特定できるなんて、もはや誰も言わない時代ですよ。
その認識(IPアドレスのトレースバックで特定できるのはパソコンの犯人性止まり)の下で捜査機関は,「IDパスワードの認知者限定」「消去法(ホシ取り表・マトリックス・クロスリファレンス」「ネットカフェ捜査(詳細割愛)」「4要素通信解析」といった様々な手法で,ラストワンマイル捜査を遂げているんではないかと思われる。
≪参考≫「ハイテク犯罪捜査入門-捜査実務編-」P142~&P247~(このブログで町村先生から紹介されて購入した本)
投稿: 通り過ぎ | 2008/05/27 12:24
>様々な手法で,ラストワンマイル捜査を遂げているんではないかと思われる。
ラストワンマイル捜査は、ほとんど部外秘が多いですから、一般の人にはわからないことが多いですね。IPアドレスのトレーシングやID認識の有無だけで、犯人特定ができる・できないなんて言う人が多いのもそういう知識が不足しているからでしょう。
投稿: ハスカップ | 2008/05/28 12:56