jugement:消費者契約法10条で賃貸借の定期補修費分担金がかえってくる
事案は、建物賃貸借で更新時に更新料と、契約時に定額補修分担金を支払った賃借人が、建物退去後にその両者の返還を求めた事例である。
判決は、定額補修分担金の返還のみ認容した。ただし、更新料の返還を認めなかったのは、それが全額返還されていたからである。
定期補修費分担金を定めた条項は、契約書の中でも特にゴシック体にされ、また契約書末尾には以下のような記載があった。
「私は,本契約締結にあたり以上の説明を受け,上記事項を熟読の上,ここに定額補修分担金の支払いを了承し,その支払いに合意致します。」
この手の確認念押しは、ネット取引などでも特に不利益を消費者に押しつけようとするときに時々見られるやり方で、逆に後ろめたさを示しているともいえる。
これに対して更新料は、当たり前のことと考えているのか、強調はされていなかったようである。
ともあれ、消費者契約法10条の威力が如実に現れた事例である。
このような消費者関係の判例は、昔は釧路でよくでていたものだが、最近は京都が目立つ。
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