arret:住基ネット合憲
これで一連の裁判には決着が付いたということができる。
上記リンクは、大阪で住基ネットからの削除請求を認容した高裁判決に対する上告で、破棄自判し、控訴棄却の判決を下したものである。
最高裁は、住基ネット4情報が「個人の内面に関わるような秘匿性の高い情報とはいえない」こと、「システム技術上又は法制度上の不備があり,そのために本人確認情報が法令等の根拠に基づかずに又は正当な行政目的の範囲を逸脱して第三者に開示又は公表される具体的な危険が生じているということもできない」ことを指摘した後、原審が住基法で目的外使用を禁止しても行政個人情報保護法が裁量による目的外使用を認めているのだから、その禁止は実効性を欠くと判断したのに対し、次のように述べている。
「行政個人情報保護法は,行政機関における個人情報一般についてその取扱いに関する基本的事項を定めるものであるのに対し,住基法30条の34等の本人確認情報の保護規定は,個人情報のうち住基ネットにより管理,利用等される本人確認情報につきその保護措置を講ずるために特に設けられた規定であるから,本人確認情報については,住基法中の保護規定が行政個人情報保護法の規定に優先して適用されると解すべき」
つまり、本人確認情報は行政機関が裁量によって目的外使用できるものではないと判示したのである。
ここまで大丈夫漏えいも目的外使用もありませんよといって合憲だとしたのだから、今後もし万一漏えい事故などが起こったときは、過失の一応の推定が成り立つのだろうなと確認しておきたいところである。
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