« jugement:電波系! | トップページ | fete:裸祭りは公然わいせつ »

2008/02/08

OCNに対する発信者情報開示請求

■NTTコミュニケーションズ(OCN)を訴えました(悪徳商法マニアックス)

悪徳商法マニアックスの管理人さんは、2ちゃんねるで個人情報及び親族一覧みたいな個人情報リストを掲載されたそうである。
西村ひろゆきは、あまりの酷さからか半日も経たず開示を行って、開示されたIPアドレスの保有者NTTコミュニケーションズに開示を求めたら「『権利が侵害されたことが明らか』であるとは判断できません」という理由で開示を拒否されたというのである。

かくして発信者情報開示請求訴訟を提起したわけだが、あわせて不開示を理由とする慰藉料も請求している。
こちらの成否が興味深い。法律上は、故意または重過失を要件としてるので、議論は深まっていないが、プライバシー侵害が明白なケースにおいて、権利侵害が明らかであるとは判断できませんとの回答をしても当然重過失ではないかということも考えられる。

実際の被害の状況に依存する問題だし、担当弁護士は難しいと評価しているようなので、やはり微妙なケースだったのかもしれないが、名誉毀損と違ってプライバシー侵害には、真実性・相当性の消極的要件などはない。

第1回口頭弁論は、2月15日午前10時から、東京地裁713号法廷とのことである。

なお、抗弁となるのかどうか判断つけにくいが、西村ひろゆきが任意に開示したIPアドレスとタイムスタンプが正確でなかった場合には、別人の通信記録を開示することになる。仮にそうだとすると、故意はないにしても、過失で通信の秘密を開示してしまったということになる。間違っているかもしれないが、まあいいやという認識で開示したのなら、未必の故意か?
そのあたりも任意の開示をためらう理由の一つであろう。

|

« jugement:電波系! | トップページ | fete:裸祭りは公然わいせつ »

法律・裁判」カテゴリの記事

コメント

某アンケートデータ流出事故との関係でも、ニフティは、あらゆる違法性阻却事由が存在しないことを開示請求者が主張・立証する責任があると仰っていました。どんな違法性阻却事由があり得るのかと求釈明したら、そんなことは開示請求者の側で考えることだと、回答を拒否されましたが。
 発信者情報開示請求権において、違法性阻却事由が存在しないことの主張・立証責任を開示請求者に負わせる多数説及び下級審判決の問題点が、そこには現れています。

投稿: 小倉秀夫 | 2008/02/08 11:33

なるほど…。
消極的事実についての証明責任というのは,そうやってもあながち不当(分配された者に不可能を強いる)ものではない場合に限られると認識していたのですが。

ニフティの対応(当社が開示しないことについて,どんな違法性阻却事由があるかはそっちで考えろ)をみると,そのゆがみがよくわかりますね。

投稿: h | 2008/02/08 12:07

昔は毎日のように発信者開示請求を受けていた現法科大学院生ですが、可能性としては開示請求の不明瞭という点もあったのかもしれません。

2ちゃんねるの方は自分の管理する掲示板ですから判断しやすかったのかもしれませんが、OCNは別法人ですのでURLを特定した上で書き込み内容の印刷物などを添付して請求すれば開示できるかと思いますが、それすらせず、侵害情報が確認できない開示請求というのもよく見かけました。

そこまで行った請求を却下したのであれば重過失は十分肯定できるかと思います。

現実問題として請求内容の不備ということが多いのは見過ごせないかと…

違法性阻却自由に関しては、被侵害者が有名な法人や個人であれば確かに微妙なところがありますが、ある程度の疎明程度が具備されていれば通していたと思います。特に個人からの請求はあまり厳格にしても酷ですから…

投稿: 元法務部員 | 2008/02/08 20:07

IPアドレスを仮処分で開示してもらった場合でも、よくわからない理由で拒否し続けて間接強制を申し立てるまで開示を拒否したケースがありました。

私は、立証責任の転換という考えについては反対と思っています。

投稿: Toshimitsu Dan | 2008/02/08 20:18

>あらゆる違法性阻却事由が存在しないことを開示請求者が主張・立証する責任

これは事実なら悪魔の証明をもとめられているようなものですね。

ニフティもNTTコミュニケーションズもばかちん庇いたくてそうしているわけではないと思うので、「開示要件をここまで満たしていたら開示して問題があっても責任は問われない」というラインが明らかになるとよいのですが。

投稿: サスケット | 2008/02/08 23:17

開示請求に対してプロバイダがどのように対応するのか?という実務上の問題は、プロバイダ責任制限法の施行の段階で話題になっていました。

一方で、開示したら間違えでしたというわけにいかないとの「慎重派」の考えがあるのは当然で、議論してみると「裁判してもらうしかないね」という意見も出てきました。

そういう意味では、正面から裁判で争ってみるというのはよいことだと思いますね。

投稿: 酔うぞ | 2008/02/09 11:49

 アクセスプロバイダにとっては、当該情報発信者は自分たちにお金を払ってくれるお客様なのに対し、被害者は大抵の場合全くの第三者なわけですから、発信者をかばいたいわけです。それに、裁判提起して最高裁まで勝ち抜かなければ発信者情報すら開示されないということにしておけば、ネット上での誹謗中傷やプライバシー情報の開示については、法的な権利を行使することのコストを引き上げることに繋がり、それは「コスト倒れということで泣き寝入り」させることに繋がります。
 ニフティにいくら要請しても匿名プロクシからのコメント投稿をブロックするオプションを与える気がないことからも分かるとおり、事業者としては、むしろ、その種の違法行為に活用して盛り上がってくれることを望んでいるのだと思います。

投稿: 小倉秀夫 | 2008/02/09 12:35

小倉秀夫先生

>事業者としては、むしろ、その種の違法行為に活用して盛り上がってくれることを望んでいるのだと思います。

 聞き捨てならない内容なので、このご見解の根拠や理由について「匿名プロクシ」以外の具体的な典拠をお示しください。
 お手数をおかけしますがよろしくお願いします。

投稿: ハスカップ | 2008/02/09 14:26

聞き捨てならないって、関係者か何かですか?

投稿: 小倉秀夫 | 2008/02/09 14:48

>ニフティにいくら要請しても匿名プロクシからのコメント投稿をブロックするオプションを与える気がないことからも分かるとおり

匿名串からのコメント投稿をブロックしても、実際には、かなり無意味なことになると思いますが・・・

IP偽装は別にPCに頼らない方法でも簡単にできますし、串一般を制限するにしても、また次の串が出てきますし、はっきり言えばいたちごっこになるのが目に見ええているわけですが。

もし匿名串からの投稿をブロックするオプションを手に入れても、全部の匿名串自体を常に監視しないと、串からの投稿を抑えることはできないですし、その手間暇もないと思います。結局は串を使った投稿を一時的にも容認せざるを得なくなりますけど。

それに、匿名串の存在を知らないユーザーからすれば、匿名串からの投稿ブロックなんてオプションを手に入れても、使わない人がおそらく8割を超えると思いますけど。

第一、小倉先生の発言だけだと、匿名串ユーザーは、何がしかの違法行為のために串を使っているようにも思えますが、小倉先生は、匿名串を使うことは違法行為だと思っているんでしょうか?

投稿: こう | 2008/02/09 15:27

小倉さん、アクセスプロバイダは別に誹謗中傷で盛り上がってくれても、自社の会員が増えるわけではないし、自社の課金が増えるわけでもないので、盛り上がりで儲ける意図はないでしょう。

むしろ面倒な客は来ないでほしいというのが本音でしょう。

盛り上がって喜ぶのは、ホスティングサービスでアクセス数が広告料に跳ね返るビジネスモデルを採っているところかなと。

投稿: 町村 | 2008/02/09 16:04

小倉先生

 私はISPの関係者でも何でもないです。
 違法行為を黙認して収益増大を図るかのごとき評価という先生の誤解の根拠が知りたかっただけです。
 ただ、町村先生のコメントを見て、小倉先生が「ISPとホスティングサービスを混同していた」だけと分かりましたので、御説明いただかなくて結構です。
 お手数をおかけしました。

投稿: ハスカップ | 2008/02/09 16:21

この手の問題は、加害者が冗長しないように速やかに対策をとる必要があって、1ヶ月でケリとつけたいという被害者側の気持ちと、裁判で争えば1年以上かかるという現行の裁判制度の時間的なずれがとても辛いところです。

「IPアドレスの開示の仮処分の段階で、裁判所の判断を受けている場合くらいは、任意で出せや!」と思うことが多いです。

ISPのためにも、被害者のためにも、任意開示における免責と非開示における重過失の具体的な基準を真剣に考えなければならないと思っています。

投稿: Toshimitsu Dan | 2008/02/10 17:30

>小倉先生が「ISPとホスティングサービスを混同していた」だけと分かりました

ハスカップさん違います。
小倉先生が間違った認識をしていたとい理解は正しいですが、「ISPとホスティングサービスの混同」ではないと思います。

アクセス数の増加=コスト増です。
「アクセス数が広告料(など)に跳ね返る」ことが主で、広告料の受け取り元がISPであることもホスティングサービスであることもまったく関係ないです。

おそらく小倉さんは2chみたいなところだけしか想定してないんじゃないでしょうか。
それを全部にあてはめちゃったみたいな。

基本的に今のビジネスモデルだと、アクセス数をそのまま利益に還元できるのは広告くらいですから……ニフティはそこまで自社ユーザの領域に干渉してましたっけ?
あとのパターンはアクセス数「だけ」あってもしょうがないですからね。


最も2chも、サーバ費用と相殺程度という話は聞きますし、最近だとニコニコ動画なんかも同じ問題を抱えているのもあって、「アクセス数だけ増えても余計なコストがかかって儲けの面ではあまり意味がない」というのは一般的になっていると思っていましたが。

もちろん、雑多にアクセス数だけに固執すると

>むしろ面倒な客は来ないでほしいというのが本音でしょう。

こういった訴訟問題に対するリスク・コストも増加しますし。

投稿: サスケット | 2008/02/10 18:39

>「IPアドレスの開示の仮処分の段階で、裁判所の判断を受けている場合くらいは、任意で出せや!」と思うことが多いです。

その段階で、開示した結果に起きた問題の責任が裁判所に完全移行してくれれば、ISP側も文句ないはずなのですよ、きっと。

投稿: サスケット | 2008/02/10 18:43

>サスケットさん

私としては、裁判所の仮処分を信用したということで、ISPは特段の事情がない限り開示しても無過失免責されるべきと思っています。

被害者は仮処分の際の担保供託金に強制執行すれば、不当開示でもとりっぱぐれの可能性が少なかったりします。

投稿: Toshimitsu Dan | 2008/02/10 21:45

壇先生、ホスティングプロバイダや掲示板管理人に対する仮処分でIPアドレスが開示された場合には、権利侵害を受けていて保全の必要性もあることに疎明があるわけですから、一応それを信じてもよいというのは分かります。
ただし、上記の悪マニさんの事例には当てはまらないようですね。

仮処分があったケースについて、保証金は仮処分債務者が先取特権を有するとしても、不当開示された発信者がそれにかかっていくのは、債権者代位訴訟でも起こさないと無理では?

投稿: 町村 | 2008/02/10 22:37

ホスティングプロバイダから開示請求者が開示を受けたIPアドレスが間違っていたという場合には、アクセスプロバイダには過失は認められないでしょう。この点に関していえば、仮処分によってIPアドレスの開示を受けた場合であっても、仮処分によらずにIPアドレスの開示を受けた場合であっても変わらないはずです。従って、アクセスプロバイダが検討すべきは、開示請求者の権利が侵害されたことが明らかかどうかですが、はっきり言ってしまえば、これが「グレー」なケースなんてそんなにはありません。発信者への意見照会を行い、違法性阻却事由があることについての具体的な資料提供がない場合には、違法性阻却事由なんてないのです。

投稿: 小倉秀夫 | 2008/02/11 00:42

>はっきり言ってしまえば、これが「グレー」なケースなんてそんなにはありません。

そうかなあ。20才くらいの青年が40才くらいのオッサンに反論したり批判したりして、オッサンが怒ってイヤラシイ嫌味や皮肉で狡猾に貶めるようなことを言ったことに対して、青年が切れてアホとかバカとかシネとか言ってしまったとしてもグレーじゃないのかなあ。
そうなるとネットというのは法律に詳しくて嫌味や皮肉のうまい人にとってのみ住みやすい世界になるんじゃないかなあ。

投稿: 平田 | 2008/02/11 02:05

グレーなケースがあまりないなんていうのは、被害者の代理人の立場から見ればそう思えるというくらいの意味でしょう。

でもまあ、グレーのケースであっても、発信者が具体的に違法でないことを説明しようとしないのなら、それは手続的に明白と扱っても良さそうだと思います。

投稿: 町村 | 2008/02/11 08:58

 某大手ポータルサイトを運営する会社に弁護士として勤務していた落合先生によれば、通産7年間の実経験としてグレーの判断に相当ご苦労されたようです。
http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20071205#1196850380
 ただ、町村先生も指摘される論旨のとおり、疎明段階では、名誉毀損や侮辱の判例や判決例も参酌し、一定の類型的な記述には、違法性を事実上推定し(違法性阻却事由が主張疎明されない場合)、立証の負担を軽減する法理論を適用するのがいいと思います。最終的な実体判断は本案訴訟で行うということで。
 たとえば、個人攻撃や罵倒に該当する「チ■カス」「ゴミ」「馬鹿で無責任」「愚か者」「ふしだら」「好き者」「臆病者」なんかは違法性を推定してよい典型例でしょう(このような罵倒で米国では女子高生が自殺しています)。

投稿: ハスカップ | 2008/02/11 11:20

>町村先生

確かに実務的にはテクニックを要するところですが、なんとかなったりすると思われます。釈迦に説法ですので敢えて言いませんが。

債権者代位訴訟の場合は、ISPに対する損害賠償が成立すること+無資力が必要なので現実的ではないと思います。

投稿: Toshimitsu Dan | 2008/02/11 16:37

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/31412/40042661

この記事へのトラックバック一覧です: OCNに対する発信者情報開示請求:

« jugement:電波系! | トップページ | fete:裸祭りは公然わいせつ »