闇求職とlongtail
nifty経由:携帯で求職、誘拐に加担…ネット社会・深まる闇(1)(読売新聞)
読売新聞が連載でネット社会の問題をとりあげるということで、一言コメントした。
「一部の収集家しか興味のないモノでも同好の士が見つかるのがネットの利点だが、その裏返しで、少数の犯罪者や犯罪性向のある人も結びつけてしまう」
大体これで何が言いたいかは尽きているのだが、もう少し長くいうと、次のようなことだ。
「Web2.0の議論でよくいわれるロングテール現象の負の側面が、ネットを媒介した犯罪行為の多発につながっているのでしょう。
つまり、ごくわずかな人々しか関心を持たないレアな商品は普通の商店では売っていないわけですが、ネットショッピングやオンラインオークションであれば、検索エンジンなどを通じて、滅多にいない同好の士が結びついて取引が成立する可能性が出てきます。これまではマニア同士の同好会のようなところでわずかな人数が集まっていたのが、現実社会では出会う可能性がない人々同士がネット社会では出会えるようになったわけで、これがロングテールの部分に取引が成立するといわれる現象です。
これと同様に、犯罪をする人々は、既存の犯罪者集団を除けば、犯罪傾向を公然と示したりもできませんし、互いに出会うチャンスは少なかったはずです。ところがネットの闇職安サイトとかがあり、検索エンジンを通じて幅広くアクセスを受けられるようになると、今まで出会えなかった犯罪者・犯罪性向のある人々が出会えるようになったというわけです。こういう意味で、ロングテールの負の側面というわけです。」
こうした事態にどう対処すべきかということが本当の問題なのだが、それについてはあまり新しいアイディアがあるわけではない。
記事では警察幹部が表現の自由とのかねあいで難しいとこぼしていると書かれていたが、これはどうかと思う。そもそも犯罪の謀議がなされている可能性のある通信を見つけて、それを削除したらどうなるというのか?謀議が成立する前なら、上記の「出会い」を阻害することができるかも知れないが、およそ大量の通信の中から犯罪の謀議につながる可能性のある記述を見つけ出して予防的に削除させるというようなことは、現実的ではない。
結局、謀議につながりそうな書き込みを発見したときは、その成り行きを監視し、嫌疑がある程度に達すれば、通信傍受法に基づく通信傍受なども含めて捜査を開始するということしかなさそうである。
そのような捜査手法を大々的に進めることの危険性は、いうまでもないので、その適正さを確保するための仕組みが必要になる。もちろん捜査の密行性と両立させる必要があるが、犯罪捜査の名を借りたプライバシー侵害、思想調査など濫用行為を抑止するためには、外部監査を適時におこなうことがどうしても必要である。
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