jugement:自白の任意性立証のDVDがやぶ蛇となった事例
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そのDVDに録画された状況をみると,取調べ検察官が,殺意を否定しようとする被告人の弁解を殊更に無視し,高齢の被告人が理解力に劣ることなどをよいことにして,殺意を認める旨の検察官調書の撤回を封じ込めようとしたのではないかなどという疑いは否定できない
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裁判官にそのような判断をなさしめるようなDVDを出しておいて、他の補強証拠はあえて出さないで大丈夫だろうと踏んでいた検察官はなんてアホなんだと思うと同時に、いやいやよほど裁判所はなめられているのだなと感じ入る次第。
任意性に関する疑いがあるとして証拠調べ請求を却下した大阪地決平成19年11月14日も上記PDFに付録されている。
取り調べの状況が生々しく再現されており、一部とはいえ映像資料が絶大な情報提供力を持っていることはこれでもよく分かる。
しかしながら、このことの危険性もまた考えなければならず、今回は怪しげな場面をそのまま出したからやぶ蛇となったが、それは検察官的にはまさしく下手を打ったというに他ならない。
ねつ造するのはまともな検察官のするところではないであろうと信じたいが、不利なところは省くのをねつ造と呼ぶかどうかは見解の分かれるところだと思うし、警察検察が集めた証拠のうち有罪方向に働く物だけを出すという行為は常日頃しているところなのだ。
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