jugement:証拠保全に対するカルテ不開示に損害賠償
大阪地判平成20年2月21日
毎日jp:カルテ紛失:阪大に賠償命令「義務違反」で 大阪地裁
カルテのような医療過程を証明する医療記録を提出せず、紛失と言い逃れた病院に鉄槌。ただし、鉄槌というにはあまりに軽い賠償額である。
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判決では、田中さんは92年1月、同病院であごのがんと診断され、手術や治療を受け、呼吸や摂食に障害が残った。97年に証拠保全を行ったが、92年1~11月分の入院カルテや手術記録が開示されなかった。田中さんが98年に提訴した医療過誤訴訟でも、病院側は一部カルテなどは「捜索中」として提出せず、訴訟は05年2月、最高裁で田中さんの敗訴が確定した。
大西裁判長は「重い後遺症を患った原告が治療経過の報告を受けたいと考えるのは当然で、診療契約上の債務不履行にあたる」と判断した。
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しかし本来の医療過誤訴訟は原告患者側が敗訴しており、これが資料不提出に起因する証明不十分の故だとすると、不公正極まりない。
もっともこの点は、事実関係が明らかではないし、記事の内容からみても医療過誤自体が否定されたのかもしれないとうかがわせるものがある。
大阪地裁が債務不履行としたのは、民法645条の受任者の顛末報告義務違反としたのだろうが、こうした付随義務違反を理由に債務不履行として単独の賠償を認めるのは珍しい。
民法645条「受任者は、委任者の請求があるときは、いつでも委任事務の処理の状況を報告し、委任が終了した後は、遅滞なくその経過及び結果を報告しなければならない。」
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コメント
新たな作成を必要とする資料でもないにも関わらず、単なる過失にしては大量の資料を紛失し、あるいは稚拙な改竄によって事実を歪めようという医療関係者については、それこそ厳しい行政処分と、故意が明確なものについては刑事処分が至当と考えます。
医療事故・医療過誤の原因追及を妨げる故意や重過失については、これは二次被害の原因となりかねないことが明確であり、決して許されるべきものではないとも考えます。
投稿: rijin | 2008/02/25 17:19