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2008/01/29

secret:公務員守秘義務の問題

asahi.com:公務員の「守秘」、処罰どこまで 情報提供に規制の動き

記事によれば、国家公務員制度改革の論議で最終答申には、公務員の守秘義務違反への捜査・処罰の強化が盛り込まれる見通しだという。

「公務員制度の総合的な改革に関する懇談会」というのがその舞台だ。

このニュースを見て思い出すのは、文書提出命令をめぐる立法過程の大混乱であり、その焦点は公務員の秘密保持に関して政府案では行政府の判断で秘密とできることになっていたのに、弁護士会や市民団体等が激しく反発したというものである。
結局、秘密かどうかの判断は、行政庁が判断するものの、最終的には裁判所が判断するという現在の枠組みができあがった。

もともと守秘義務がかかる情報なのかどうかは、形式秘ではなく実質秘だということなので、情報を漏らした場合でも現実に処罰される範囲はかなり狭いのに対し、少なくとも秘密扱いされていれば訴追リスクが生じるし、懲戒処分のリスクも生じる。情報を漏らした側が争えば最終的に無罪・処分なしとなりうるケースでも訴追・懲戒リスクが高ければ、情報を明らかにすることにブレーキがかかる。この幅というかギャップが大きければ大きいほど、情報管理者にとってはフリーハンドが広がるので有利で権力が強くなる一方、社会的には情報がシュリンクする。

もちろん本来守られるべき秘密がだだ漏れになってしまう状況は困るので、守秘義務が実効的に守られる仕組みは必要だ。しかし上記記事の内容によれば、この時期に守秘義務を強化しようというのは、「公務員が勝手に国会議員に根回しすること」や「税務から刑事捜査まで情報流出が常態化している」こと、「大臣の知らないところで官僚が情報を勝手に操作する」ことなど、政治的な情報統制の強化をねらったものであり、逆にこれらの情報は国民の立場からすればほとんど保護に値しない、秘密性の認められない情報である。
税務から刑事捜査までというのは確かに情報主体のプライバシー侵害が生じうる微妙な問題だが、それも情報を知る権利との関係、つまり公益的観点からプライバシー保護との調整によりバランスをとるべき情報だ。

ただでさえ権力者は情報を隠蔽して都合のよいときだけ開示して優位性を確保しようとする傾向にある。個人情報保護というそれ自体は正しい目的の法律ができると、すぐに不祥事隠しに活用しようとする企業・官僚の姿は、まだ記憶に新しい。

秘密情報の保護を強化すること自体は必要だと思うが、それと同時に情報公開をさらに拡張する、秘密としての要保護性がない情報まで秘密指定するような濫用を制限する仕組みが必要である。
例えば、秘密指定されている情報を非公式に開示しようとする場合、ノーアクションレターのような事前判断を第三者機関(オンブズマン)から得られるようにしてはどうか?
政治や行政から独立性を確保した第三者機関というのは、実際には難しいが、現在もある情報公開審査会を拡充して、ノーアクションレターを公務員から受け付け、迅速審査をするようにしてはどうかと思うのだ。

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