民主党のnet違法有害情報対策
こういうことが重なると、もう民主党だけは投票するまいという気分にさせられる。
Nikkei.net:有害サイト削除、民主が独自法案・プロバイダーに義務化
既に落合ブログにて言及されているのだが。
この見出しではあまりといえばあまりの政策に見えるが、記事では次のように書かれている。
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(前略)インターネット上の違法・有害サイトの削除をプロバイダーなどに義務付ける法案の国会提出に向け、党内調整を始めた。自殺勧誘や、児童買春の温床とされる出会い系や児童ポルノなどに簡単にアクセスできないようにする狙い。
(中略)
検討中の法案では、サイト開設者やプロバイダーは違法情報を発見し次第、削除しなくてはならないと規定。違法かどうか明確でなくとも、有害な恐れがある場合は児童が閲覧できなくなるような措置を講じるよう義務付ける。罰則を設けることも視野に入れる。
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このような内容で法案を作る前に一つやってみてほしいことがある。
2ちゃんねるのどこかの板とか、あるいはどこかの裏職安サイトとかを選んで定点観測し、その情報のうち削除義務があると判断できる情報はどれかを特定してみたらよい。有害な恐れがあって児童の閲覧ができなくなる措置というのも、どの情報がそれにあたるのかを実際のサイトを標本にして特定してみたらよい。
そして特定することができる情報がどれくらいあるのかを、民主党の皆さんが自ら明らかにして、この法案の内容やその実効性を考えるとよい。
さらには、判断を誤ると義務違反で罰則がかかるということも前提にして、削除作業をやってみたらよいと思う。そうしたら、多分、このmatimulogにも、エントリやコメントに削除対象となるような書き込みが見つかることであろう。
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コメント
議員立法ですから、緻密な調査や議論は期待できません。妥協を繰り返してまとまったところで成立するだけです。
http://d.hatena.ne.jp/okumuraosaka/20080104/1199437025
で紹介しましたが、違法情報については、なんか削除義務が肯定できるでしょうから、削除懈怠罪の軽い罪(不作為犯の公然陳列罪とは観念的競合)ができてもまあ、文句できいでしょう。
問題は、現行法で「違法でない有害情報」でしょうね。
違法じゃないのに、どう削除義務を根拠づけるのか?どういう場合に罰則が発動するのか?
投稿: 奥村徹(大阪弁護士会) | 2008/01/04 20:35
実際に立法するとなれば、衆議院法制局か参議院法制局の手を借りるわけですから、罪刑法定主義に反しない限度で、削除しないことが刑事罰の対象となる情報、ないし、ゾーニングしないことが刑事罰となる対象が、号のレベルで列挙されるか、政令に委ねられるかするのではないですか。
罰則たって、必ずしも違反したら刑務所に入れるってものとは限らないわけですし、特定の個人が被害者として違反者に対し民事訴訟を提起するというものでもないのでしょうから、公務署の命令に違反したことについて通常付される程度の罰則を付するのもそんなに突出した話でもないと思うのですが。
もちろん、自殺勧誘サイトや援交募集サイト等は一定の需要があり一定程度のアクセス数を期待できるからプロバイダ等としては見つけても削除したくないという気持ちは分からないではないですが、「ネット」が特別な存在ではなくなるにつれて、立法府が「ネット」社会を現実社会に近づけていこうという方向で動くのは仕方ないのではないかと思います、
投稿: 小倉秀夫 | 2008/01/05 00:36
自民党も同じような話をしている人達はいて、両党ともそういう話をしていない人達はいるのですよね。インターネット協会あたりがものすごい勢いでロビー活動しているんでしょう。
総務省の総合的法体系研究会の最終報告書はそこそこ穏当な結論になったんですけど、他のところが…。総務省も消費者支援の関係はパターナリステイックな傾向があるんですよね。
投稿: 崎山伸夫 | 2008/01/05 09:53