« book:ネット君臨 | トップページ | Mona Lizaの本名が判明! »

2008/01/15

bankruptcy:船場吉兆が民事再生へ

nifty:船場吉兆、資金繰り悪化で民事再生法申請へ(読売新聞)

何らかの再建の法的手段は避けられないところであったろう。
しかし、こうなった責任者について、民事再生法にはちゃんと規定があるので、それを適切に適用するかどうかが注目される。

民事再生法より
(損害賠償請求権の査定の申立て等)
第百四十三条  裁判所は、法人である再生債務者について再生手続開始の決定があった場合において、必要があると認めるときは、再生債務者等の申立てにより又は職権で、役員の責任に基づく損害賠償請求権の査定の裁判をすることができる。
2  前項に規定する場合において、管財人が選任されていないときは、再生債権者も、同項の申立てをすることができる。

船場吉兆の場合、「食品偽装表示事件で全4店舗が休業に追い込まれ、資金繰りが悪化」という事態となった最大の責任者は、これを指示した経営陣、すなわち湯木正徳社長、佐知子取締役、何人かいる湯木取締役などであり、とりわけパート職員の独断だと発言していた湯木さんたちが信用失墜に拍車をかけてきたことはいうまでもない。
これらの連中が船場吉兆に損害を与えたことは明らかであり、会社法423条に規定された任務懈怠による損害賠償責任が認められる。
この責任追及のためには、再生債務者だけでなく、裁判所が職権でもできるし、管財人が選任されれば管財人の任務でもあるし、選任されなければ再生債権者も申し立てることができる。偽装の犯人扱いされ散々踏みつけにされてきたパート職員の皆さんは、まだ債権があれば、ここぞとばかりに取締役の責任追及を申し立てる手である。

むしろ、この嘘を突き通して免れようとしてきた連中の民事責任その他の法的責任がきちんと追及されなければ、民事再生による債務の減免などを受けての再建など、許されてはならないのである。

ちなみに、東京では管財人を選任した例がないとのことだが、大阪では管財人を選任した例がある。船場吉兆は大阪地裁に申立てをするのであるから、債務者会社の経営者が好き勝手できるとは全く限らないのである。

参考「偽装
吉兆2
恥の上塗り会見

|

« book:ネット君臨 | トップページ | Mona Lizaの本名が判明! »

ニュース」カテゴリの記事

法律・裁判」カテゴリの記事

コメント

札幌地裁でも法人の民事再生事件で管財人を選任した例があります。
今年も当会がお世話になります。

投稿: 札幌の弁護士 | 2008/01/16 13:36

東京地裁でも、民事再生で管財人を選任した例はあると思いますよ。
私が知っているのは1件だけで、その1件は東京地裁初の管財人選任例だと言われていましたので、その後は出ていないのかもしれませんが。
事案は、親会社が会社更生となり、有限会社の子会社では旧商法下では会社更生の申立てができないので、民再申立てに至った事案でした。

投稿: 通りすがりのものです。 | 2008/01/16 15:55

ご指摘有り難うございます。
私が見たのは平成17年9月30日までの統計を元にした解説ですので、それ以降には出たのかもしれませんね。
左の最近の本に紹介したQ&A民事再生法の中にある岡弁護士による論文です。

投稿: 町村 | 2008/01/16 16:27

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: bankruptcy:船場吉兆が民事再生へ:

« book:ネット君臨 | トップページ | Mona Lizaの本名が判明! »