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2007/12/05

news:「削除してもいいですか?」相談機関

asahi.com:ネット業界、有害情報の対応助言 業者向けに相談窓口

ということで、有害情報の駆逐に各方面が躍起となっているのだが、助言する機関がどのようなスタンスでいるかにより、この助言の有効性が左右される。



有害情報を削除するのに対立する利益は、ユーザーの契約上の権利であり、ホスティング・プロバイダ利用という私法上の権利義務の局面では「表現の自由」は関係してこない。いや、表現の自由の保障を私法関係でも尊重すべきだという見解はあるかもしれないが、理論的には別個である。例えば共産党がプロバイダをやっているとして、マルクスとエンゲルスはホモだちだったみたいな記事を削除しても誰も異論は唱えないだろう(あくまで比喩なので、内容に突っ込まないように)。

ただし、プロバイダ業に対する公法的規制はあって、その最たるものは通信の秘密侵害、検閲の禁止、差別的取扱いの禁止である。ユーザーが発信する情報を、その内容に則して削除するのは、これらの公法的規制との関係で微妙である。

また逆に削除しないとした場合に、その情報が他人の権利侵害を引き起こす性質のものだった場合は、削除しないことによる損害の賠償責任が追及されるかもしれない。しかしその成否は極めて微妙である。

かくして、プロバイダに対する助言が有用なものとして期待されるのは、犯罪を予兆させるような情報の場合にはその削除が公法的規制に反しないかどうかのお墨付きを与えてくれるものであり、他人の権利侵害となりうる情報の場合には、削除義務があるかどうかの判定をしてくれるものということになる。

要約すると、有害情報には削除してもよいと後押ししてくれるような助言が、侵害情報には削除しないとヤバイかもよと警告してくれるような助言が、最も望まれるものだ。

問題は、助言機関がこのようなスタンスで積極的に介入・判定をできるかということなのである。

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コメント

 これって、違法情報・有害情報を媒介しているという刑事責任を心配した対策なんじゃないですか?
 刑法上の削除義務については、いつまで議論しないつもりなんでしょう。

投稿: 奥村徹(大阪弁護士会) | 2007/12/05 14:57

 リーガルチェック窓口機関という業界団体直営の専門弁護士集団が対応にあたるなら、そこそこ専門家のお墨付きで違法有害コンテンツの削除が(刑事責任や民事責任を回避するため)進むと思います。
 そして、違法有害コンテンツ被害に遭っても泣き寝入りするだけだった被害者が、削除で一定限度は救済される可能性が高くなると思います。
 よろしかったら奥村先生も、児童ポルノ判例に精通した専門家弁護士として参加されたらいかがでしょうか。
 公権力の介入の前に私的自治や業界団体対応で解決するのが理想かも知れませんので。ただ、町村先生がご指摘のように相談助言から指導警告への道筋は一筋縄でいかないかもしれないですね。

投稿: ハスカップ | 2007/12/05 16:10

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