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2007/11/20

arret:いじめ被害はなかったが、虚偽説明で賠償

札幌高判平成19年11月9日PDF全文
「中学生が同級生のいじめによる暴行で傷害を受けたとして,その中学生と母親が,学校を設置する被控訴人に対して損害賠償を請求したが,その暴行による傷害はいじめによるものではなく偶発的なものであることを理由に,請求を棄却した原審が維持された事例。ただし,控訴人らが控訴審で予備的に追加した,学校関係者が被害発生の経緯等について控訴人らに虚偽の報告をしたことによる損害賠償請求の一部は認容された。」

教室での喧嘩で目を怪我した息子について、親が、いじめのせいだと抗議したのに対し、判決によればいじめは認められず、直接には偶発的な喧嘩で、それもはずみで目が傷ついたというのが真相であった。
ところが学校側は、事態を穏便に済ませるために、この事故がいじめの延長線上で発生したということを認める発言を示し合わせて行い、「今後に向けて」という再発防止のための文書まで作成して親に手渡したという。
これは当事者の主観的認識にも客観的事実にも反する虚偽報告であった。

そしてこのことが、不法行為として認定された。
前提となる義務は「在学関係における信義則上の義務として,学校教育中に生徒が傷害等の被害を受けた場合には,被害者である生徒及びその保護者に対して,被害発生の経緯等について調査した上これを正確に報告する義務がある」と判示されている。

これに対して学校側は、学校に対する不信を顕わにしている親の感情を沈静化させ、信頼関係を維持するためになされた発言であるから,違法性はない旨主張するが、裁判所はこれも一蹴している。

「学校側としては,当時の調査結果に基づく本件傷害事件に対する認識を正確に控訴人ら側に伝えた上で,その認識が控訴人ら側と異なるならば,学校側が上記認識に至った経緯を丁寧に説明してその理解を得るよう努め,それでも控訴人ら側の理解が得られないようであれば,紛争解決機関に問題を委ねるという態度をとるべきだった」

要するにその場しのぎの嘘をいうのではなく、正直に丁寧に説明して、それでもダメなら紛争解決機関に解決を委ねるという当然のことを要求しているわけである。いわゆる毅然とした態度というわけである。

どこかの老舗や高級料亭(の出来悪子孫)のように、すねに傷を持つものならば、そのような毅然とした態度は望むべくもなく、どこまでもみっともなくパートの独断だなどと誤魔化そうとするのは仕方がないともいえるが、上記学校のような対応は、総会屋に金をやってしまう大企業と同様に情けなさである。
まあ、自分がその立場に立たされたらどうかというと、なかなか難しいものがあると思うが。

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コメント

学校のその場しのぎと言えば、これがあります。

http://youzo.cocolog-nifty.com/data/2007/11/post_912b.html

夏前には、提訴された事を理由にPTAを解散して、出廷せずに原告勝訴になってしまい、今度は昨年度の卒業生が実は必修科目を履修していなかった事が、今頃になって発覚したのが福島県立白河高校です。

まるで信用できなくなってしまいますが・・・・。

投稿: 酔うぞ | 2007/11/20 23:12

その単位未修得の生徒達が卒業資格を認められるのであれば、やり放題でしょう。
未修得ならまだ卒業していないので、今からでも通信によっても単位修得させるべき。
ただし、大学とか企業とかは後からの卒業資格取得でも大目に見るという程度の特別扱いはしてあげるべきでしょうけど。

それでも生じる不利益は、学校が賠償するしかないです。

投稿: 町村 | 2007/11/20 23:50

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