spam対策へのパブコメ募集中
意見募集案件145207182
「迷惑メールへの対応の在り方に関する研究会中間とりまとめ案」に対する意見募集
今回の改正案は、オプトアウトの方法を保障しなければならないというところからオプトイン型、つまり事前に同意等があった場合の限って迷惑メールを送れるようにする点が最大のポイントである。
事前に同意すれば、それはもう迷惑メールではないので、迷惑メール全面禁止法といってもよい。
しかし、実効性を担保する仕組みは必ずしも十分ではない。オプトイン規制を敷いたとして、これに違反した者のサンクションはどうなるのか?
同意なくメールを送りつけるスパマーには何らかのサンクションがあっても、そいつに広告を依頼した広告主は処罰の対象とならないのか?
広告主も、例えば個人情報取扱い事業者が外注に出す場合には監督義務を負うように、スパムメールの送信をしないように広告業者に対して監督義務を負うとはいえないか?
逆に、ボットネットの感染者がスパマー扱いされて重いサンクションを科せられる可能性があるとなると、それは困ったことだと思うが、さりとて感染者が適切なセキュリティ措置を施さずに放置している場合は、それをお咎めなしというのは困ったものである。
今回の改正案はもちろん行政規制なのだが、民事的にも、不招請勧誘を契約取消原因として正面から認めて、スパマーに対する損害賠償請求権を消費者団体が集団的に行使できるようにすれば、多少は迷惑メールが引き合わない行為になるのではないか、と思う。
あと、コメントスパム、トラックバックスパムも規制できないのかと、これは切実にそう思うのだが、パブコメにそれを書くのは無い物ねだりか。
| 固定リンク
「パソコン・インターネット」カテゴリの記事
- ChatGPTでレポートは書けるか? 民訴一行問題でやってみた。(2023.01.23)
- Book:陰謀論(2022.11.16)
- Book: #鳥海不二夫、#山本龍彦『デジタル空間とどう向き合うか』 #デジタル・ダイエット宣言(2022.08.27)
- arret:精神病院が拉致監禁に加担しているとの報道を見てしたツイートが名誉毀損とされた事例(2022.06.01)
- 【AD】電子証拠の理論と実務[第2版]がでました。(2021.11.20)
「法律・裁判」カテゴリの記事
- Book:平成司法制度改革の研究:理論なき改革はいかに挫折したのか(2023.02.02)
- Wikipediaの記事を裁判に証拠として提出することの効果(2023.01.08)
- 民訴125条と新たな法定訴訟担当(2023.01.04)
- Book:弁護士のための史上最悪の離婚事件(2022.11.24)
- Book:痴漢を弁護する理由(2022.11.14)
コメント
メールの話に限って言えば、ISP各社が個別的に対応するのではなく、迷惑メールのセントラルに登録されれば各社で自動的にはじき出すような仕組みを作らなければ、実効性自体が無いように思います。技術的な手当ての上で法改正をするならわかりますが、法規制だけで何とかしようとするのはもはや不可能かと。
投稿: こう | 2007/10/31 12:48
法のできることは法により、技術的にできることは技術により手当てするのでしょう。
その上で、技術の妨げとなる法制度があれば、それを見直していくと。
ということで、通信の秘密が障害となる部分については見直しが密かに進んでいるようですよ。
投稿: 町村 | 2007/10/31 15:46
迷惑メールも、有害情報も対策を発信側に行おうというのが違っているように感じるようになりました。
メールを迷惑と感じるのも、情報が有害だと判断するのも受信者側ですよね。
受信者側でフィルタリングするというは問題ないでしょうが、発信者側が迷惑にならないメールとか、有害でない情報、というを作ることが出来るのか?となるとこれは無理でしょう。
要するに、迷惑メールを発信者・受信者とも共通の判断基準を作ること自体が出来ないわけで、これでは迷惑メールを受信してから「発信者が迷惑メールを発信した」となり、現在と変わらない事なになってしまいます。
一体、どういうことを考えているのでしょうか?
投稿: 酔うぞ | 2007/10/31 16:28
迷惑メールの定義は、不招請の商業広告メールがコアなところですから、送る側も認識可能です。
投稿: 町村 | 2007/10/31 23:48
営業スパムは、表現の自由というよりは営業の自由(経済活動の自由)の側面が強いので厳格な合理性基準が適用されてもいいような気がしないでもありません。
投稿: ハスカップ | 2007/10/31 23:56
不招請な商業広告メールの多く(ほとんど)が迷惑メールになるのは分かりますが、迷惑メール=不招請な商業広告メールでないのも確かなことでしょう。
送る側が認識できるのは「迷惑メールになるかもしれない」が限界で「確実に迷惑メールである」と認識して送信しているものはどれなのか、なんて事前に判定する事は出来ないでしょう。
確実に迷惑というのは、悪意あるメールでウイルスとかハッキングといったものになってしまって、これはメールの内容自体が犯罪ですよね。
やはり事前になんとかできる範囲は極めて小さいとしか思えないのです。
投稿: 酔うぞ | 2007/11/01 00:10
とりあえず、広告内容が虚偽のものを規制することはできそうですけどね。逆援助交際系とか。
投稿: 小倉秀夫 | 2007/11/01 09:13
DMや電話でも、不正請求詐欺とか偽ホストクラブ詐欺(逆援詐欺)なら、詐欺罪の着手ありとして規制するのも合憲かと思います。
その意味で小倉先生の指摘に賛成です。
ちなみにスパムの経済損失効果(帯域占有と輻輳)を考えれば、マクロ経済的にも意味があるかもしれません。その分キャリアやISPが太い回線の無駄な設営を余儀なくされているのですから。
投稿: ハスカップ | 2007/11/05 00:48