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2007/10/19

news公権力が言論の自由を抑えつけようとしている例

落合ブログでみたが、東京都は公園での犬のはなしがいが問題ないと主張するブログに、プロバイダを通じて削除させようとしたらしい。

追記:その顛末を書いた記事

ネット上の表現は、法令の当否を論じたり法改正の必要を論じたりすることも、それらが公権力に目障りとおもわれただけで、プロバイダを通じて規制されるおそれが現実にあるわけだ。
このケースはプロバイダが砦になったが、公権力に抵抗する役割をプロバイダに期待しては、気の毒だ。

hさんに先を越されたが、帰宅してパソコンになったので、当のブログのリンクをつけておいた。
だいぶ、エキセントリックな外見だが、中日新聞記事に載っているところによると、都環境衛生課は、公園での動物の放し飼いを禁じている都条例や予防注射を義務づけている狂犬病予防法を挙げ「ブログは明らかに法律を否定する内容。誤った考えを先導するブログを放置するのは好ましくない」と反論する。

彼らの頭では、これもまた有害情報で存在することが認められないものというわけなのだろう。

私自身は犬にリードをつけるべしという条例に疑問を感じないのだが、疑問を感じる人がその廃止を求める行動を圧殺しようとするところに、ミミッチイながらも権力の本質の好例を見る思いだ。

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コメント

件のブログを見てみましたが,あれを「消させる」まで深刻に考えてしまうっていう発想が判らない。

それに「ブログにやっていいって書いてあったもーん」なんていう奴らは,何でも口実にして言い逃れをしようとするたぐいの連中なんですから,「相応の対応」で良いと思うんですが。

投稿: h | 2007/10/19 19:01

有名なネコ裁判を読んでいて気づいたのですが、犬は放し飼いだと「野犬として捕獲→殺処分」ですが、なぜ猫は放し飼いなのか?

これが「犬は人を襲って殺すことができる、猛獣扱い」に対して「猫が人を殺すことがないから、放し飼い(野良猫)で構わない」のだそうです。

狂犬病(恐水病)は確かほとんどの動物(人間を含む)が罹患する病気で、犬だけを管理するというのも「犬は人をしばしば噛む」ということから来ているのでしょう。

そういう意味では、行政が法律に反すると主張し、それをひっくり返そうとするとかなり大変で、ここだけ見ると行政の勝ちといった感じです。

やはり、注目するべきは行政が削除要請をした、というところになりますね。

なんで、プロバイダに押しつけたのかね?
自分の責任でやれば出来ることなのに。

投稿: 酔うぞ | 2007/10/20 09:18

行政権が自分で削除することはできないでしょう。法的にも物理的にも。
プロバイダ(民間)を通じて闇に葬ろうとするのは、権力側の常套手段ですし。

今回は違いましたが、民間がこういう扱いを受けると、強きを助けて弱きを挫きがちでもあります。

投稿: 町村 | 2007/10/20 09:55

次にこのお役人が考えることは、入れ知恵されてコンテンツフィルタリングサービスの「違法」カテゴリに当該ブログを登録するよう要請することでしょうね。

いまのところ、ネットスターのDBでは単に通常のブログに適用されるカテゴリですが(ブログは掲示板と一緒の扱いで、双方向コミュニケーションができるということで高校以下の学校でのブロック推奨カテゴリということになっていたりしますが)。ネットスターのDBは以下のフォームで確認できます。
http://meiwaku.jp/new/url-judge/

投稿: 崎山伸夫 | 2007/10/21 00:29

グーグル八分も考えつくかも。

投稿: 町村 | 2007/10/21 00:54

そうそう、ウィキペディアに嫌がらせ記事を職員個人で載せるとかもやりそうなところです。

投稿: 町村 | 2007/10/21 00:55

 日本の地方公務員は水面下の処理(ネゴ)を好む方が多いんですよ。ふぅ~

投稿: ハスカップ | 2007/10/21 01:12

この人、「犬の放し飼い禁止」と書かれた公園で、犬を放し飼いしている写真を何枚も載せていて、「犬の放し飼い禁止と書かれた公園で犬を放し飼いしても、法律にも条例にも反しない」と書いていますが、良いのでしょうか。教唆とか幇助の問題はないのでしょうか。

例えば、「麻薬を吸っても法律に違反しません」と書いたブログがあって、麻薬を吸っている写真が何枚も載っているとか、「人を殺しても法律に反しません」と書いて人を殺す写真が何枚も載っている場合、行政は何もできないのでしょうか。

投稿: 疑問 | 2007/10/22 15:03

この人は、犬の放し飼いが良いという根拠に「東京都動物保護条例9条1項(ニ)」をあげていますが、これは公園以外の場所の話ではないですかね。
http://www.reiki.metro.tokyo.jp/reiki_menu.html
公園で犬の放し飼いをしていけない根拠は、「東京都立公園条例」「第十六条 都市公園内では、次の行為をしてはならない。(中略)十 前各号のほか、都市公園の管理に支障がある行為をすること。」「第十七条 知事は、都市公園の管理のため必要があると認めるときは、都市公園の使用を制限することができる。」「第二十五条 第十六条の規定に違反して同条各号に掲げる行為をした者に対しては、五万円以下の過料を科する。」だと思いますが。
もし、この人の勘違いで、間違った法知識をブログで書いている場合、しかも間違っていることを指摘しても、それを理解できない人の場合、消させることはできないのでしょうかね。

投稿: 疑問 | 2007/10/22 15:35

疑問さんがなぜ消させることを必要とするのか、よく分からないですね。
間違ったことが書かれていれば、それと違う見解があることをコメント欄なり別の媒体で発表すればいいだけでしょう。

東京都の場合、個人のブログの影響力よりよほど大きな発言力があります。

投稿: 町村 | 2007/10/22 16:09

>疑問さんがなぜ消させることを必要とするのか、よく分からないですね。
変な書き込みをして申し訳ありません。法律的に消させることを強制できるかどうかは、知識がなく分かりませんので「疑問」という名を名乗りました。
「外国人を殺しても、殺人罪に問われることはありません」という記載があって、実際にそれを見て殺人が起きた場合と、「公園で犬を放し飼いにしても法律や条例に違反しません」というのを見て実際に放し飼いにする人が出てきた場合と、区別できないなら、前者も消せないのかなと思っただけです。また、問題のブログは「条例の廃止を求める運動」ではないと思います。
初歩的な話で失礼しますが、プロバイダ責任制限法は「記事を消さなければならない基準」が書いてあるのではないそうですが、すると「消す必要性」とは法律的に定義されているものではないということでしょうか。また「発信者情報の開示」ですが「その他発信者情報の開示を受けるべき正当な理由があるとき」と何でもOKの項目があるようですね。(本でも読んで勉強しなさいと言うことかも知れませんが。)
「別の媒体」ですが、公園の立て看板も別の媒体ですが、その目の前で犬を放し飼いにしている状況なので、どうでしょうか。

投稿: 疑問 | 2007/10/22 18:10

行政とプロバイダの間で、「消してください」「消せません」というやり取りがあった後、問題のブログを見て犬を放し飼いにしていた人の犬が、公園に来ていた人に噛み付いてケガをさせた場合、噛まれた人はプロバイダに法3条1項で損害賠償を請求できるでしょうか。
もし、「消してください」「消せません」のおかげで賠償が認められるなら、行政はgood jobだと思います。それとも、「権利が侵害されている」と現在進行形なので、賠償は認められないのでしょうか。

投稿: 疑問 | 2007/10/23 09:18

あの、どこから説明していいやら迷うところですけど、まずプロバイダ責任制限法は、ブログを立てて情報発信している人にもプロバイダに対しても損害賠償をする根拠規定でもないし、削除を義務づける根拠になる規定でもありません。
ですから、法というのがプロバイダ責任制限法を意味しているのだとすれば、損害賠償も削除請求も認められません。

それらが認められる根拠規定となるのは、民法709条とか、人格権侵害とか、物権的請求権類似の請求権とか契約違反とかになります。

プロバイダ責任制限法が規定している請求権は、発信者情報開示請求権だけです。この点はこの犬放し飼いブログ事件を報じた記事でも誤解されているのかも知れませんが。

で、プロバイダが削除を求められていたユーザのページを放置して、そのユーザのページを見て犬を放し飼いにした人がいて、その犬が公園に来ていた人にかみついてけがさせたという事例では、まさかプロバイダが損害賠償責任を負うとは思えません。

まずは、犬を放し飼いにした人が一次的責任を負うでしょうし、それが放し飼いOKのブログをみたせいだとしても、ブログ情報発信者が幇助とか教唆とかになるのはごくごく例外的な、放し飼いした人と直接の結びつきがある場合に限られるでしょう。この点は見解の違いがあるかもしませんが。

そしてその問題のブログが放置されていたことをもってプロバイダの責任を問うのは、損害の発生とあまりに遠く、複数の人の自由意思に基づく行動が間に入っていますから、因果関係があるとはいわないように思います。

投稿: 町村 | 2007/10/23 09:48

お付き合いいただき、ありがとうございます。
この件、「消してください」「消せません」とプロバイダを悪意にしておいた方が、行政側としては、賢いリスク回避策なのかなと思いました。先生のご意見とは異なると思いますが。
それでは、失礼しました。

投稿: 疑問 | 2007/10/23 14:09

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